全世代の共働きママに浸透したスマホ決済。
20代ママのクレジットカード離れは本当か!?

イマファミ通信 VOL.51

VOL50では、「共働き家庭で大きな出費を決定する決定者は誰なのか?」についてご紹介しました。これは2022年に行った『共働きママのお金に関する調査』の結果に基づくものですが、今号も同じ調査から、共働きママ達の世代別決済方法についてご紹介していきたいと思います。
※全国の大学生までの長子がいる共働き家庭のママを対象に調査を実施しました。
※本記事における「共働きママ」は、自身および配偶者が共にフルタイムで働いているママを指しています。

スマホ決済は、全世代の共働きママで約6割が利用。

図表Aは、決済手段について、週1日以上使っていると回答した人の割合を表しています。最も基本的な決済手段であろう「現金」は世代間で利用状況に大きな差は見られず、いずれの世代でも週1日以上の利用は7割といったところです。「クレジットカード」も、いずれかの購入チャネルにおける週1日以上利用では、年代ごとの大きな差は見られず、どの世代においてもおおよそ6割の利用率となっていました。「スマホ決済」も、ほとんどの世代で6割の利用といったところで、年代での大きな偏りはなく、すでにさまざまな年代の共働きママに浸透し使われていることが分かりました。「スマホ決済」について、若年層(25~34歳)のほうがより利用率が高いのかというとそうでもなく、むしろ35~44歳のママ層で利用率が高い傾向にありました。
一方、ママの世代間で顕著な差が見られたのが、「電子マネー」です。45~49歳ママでは、39.6%の利用率である一方、20~34歳ママでは28.1%と、10ポイント以上の差がつきました。

20~34歳の共働きママ、「クレジットカード」利用率は他世代ママより低い。

次に、利用するチャネル・場所を絞った場合における、決済手段についてご紹介します。
「スーパー」での決済については、20~34歳ママでは、「現金」が57.0%でトップ、次いで「クレジットカード」が49.7%と続きました。35歳以上ではクレジットカード決済の割合が高くなり、45~49歳ママでは、「クレジットカード」が54.8%でトップ、「現金」は48.8%で、クレジットカードと現金との利用率の差は、クレジットカードが6ポイント上回りました。「ショッピングモール」では、いずれの世代の共働きママも「クレジットカード」で決済すると回答した割合がトップでしたが、45~49歳の層ではその割合が65%を超えるのに対して、20~34歳の層では59.9%と、年齢が上のママ層と比べると、「クレジットカード決済」を行っている人は少ないということが分かりました。
 
クレジットカードと最も相性が良いであろう「インターネット通販」ではどうかというと、共働きママ全体では、約83%が決済方法として「クレジットカード」を利用していました。一方、20~34歳の共働きママでは、インターネット通販においても、クレジットカード利用率は78.6%であり、35歳以上の上の世代のママたちと比べると、クレジットカードの利用率が低いという結果になっていました。また、20~34歳ママではインターネット通販でも「現金」を決済手段として選んでいる人が8.4%いました。
20~34歳の若年層共働きママでは、いずれの購入チャネルで見ても「クレジットカードの利用率」が上の世代の共働きママと比べると低い結果となりました。20~34歳の共働きママが「クレジットカード自体を利用していない」割合は6.7%と、35~44歳ママ(3.8%)や45~49歳ママ(4.3%)と3ポイント程度の違いとなっており、クレジットカード保有率には大きな違いはないにもかかわらず、利用率が低いということで、クレジットカード利用に対して35歳以上のママとは違う何かしらのハードルがある様子が伺えました。

最後に、ママ達が今後も使っていきたい決済手段についてご紹介します。
20~34歳の共働きママに、今後利用機会を増やしていきたい決済手段を聞くと、「スマホ決済」が64.2% (増やしたい+やや増やしたい計)でトップになりました。次いで、「クレジットカード」(46.6%)があがりました。一方、「クレジットカードを使う機会を増やしたくない(増やしたくない+あまり増やしたくない計)」と回答した割合は18.1%となり、スマホ決済(11.6%)と比べると、「クレジットカードを利用する機会を増やしたくない」と思っている割合のほうが高い傾向にありました。また、「現金」を増やしたくない人は、半数を超えました。

スマホ決済が50歳未満のママたちの間では、世代間格差がなく浸透していることや今後の利用意向も高いことからも分かる通り、多様化する決済手段の中で、更なる利便性を求めて、よりポイントや割引など特典が良いもの、より決済時の待ち時間が短くスピーディなものを選択していく、こういった流れは今後も続いていきそうです。

<調査概要>2022年「共働きママのお金に関する調査」

  • 調査地域 : 全国
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 20~40代の既婚女性 計2,000サンプル 長子が大学生まで
         夫婦と子供のみの世帯/夫婦のみの世帯(子供は、寮生活や一人暮らしでも可)
         ※平成29年就業構造基本調査を参考に、居住エリア×ママの年代別で割付
  • 調査期間 : 2022年8月26日(金)~2022年9月5日(月)

上記ライター荒井 麗子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。