
子供がいる生活は想像以上に慌ただしいものです。家事・育児に加えて、仕事を抱える共働きママは、どのように生活時間をやりくりしているのでしょうか。今回のイマファミ通信では、2016年調査と比較しながら、コロナ禍を過ごす共働きママたちの生活時間についてご紹介します。
5年前より早寝・早起きで、朝型生活に。
図表Aは、フルタイムで働く共働きママの平日出社日の起床時刻の割合をまとめたものです。共働きママの約半数が6時台に起床しています。次いで多いのが、5時台で約34%となっていました。コロナ禍前の2016年調査と比較すると、5時台に起床する割合は約7pt増加したのに対し、6時台・7時台はいずれも減少となりました。また、図表Bの就寝時刻も、21時台・22時台が増加しているのに対し、23時台・24時台以降は減少しており、この5年間で、共働きママたちがより早寝・早起きをする朝型生活にシフトしている様子が伺えました。

朝型生活で、勤務開始時刻・退社時刻も前倒し。
早起きする共働きママが多くなったことで、勤務先への出社時刻も早まっていることが分かりました(図表C)。2016年調査時点では、8時台と9時台に出社する割合が、それぞれ約46%・約42%とほぼ同率でしたが、2021年調査時点では、9時台に出社する割合は、2016年調査から約10pt減少し約32%となりました。反対に、8時台に出社する割合は約56%と、増加しました。また図表Dの勤務先退社時刻に関しても、半数程度は17時台のままであるものの、16時台に退社する人の割合は増加傾向となりました。
早起きして、早めに出勤するママが多くなった背景には、通勤電車などの混雑を回避したい意向があるのではないかと推察しています。

変化した家事実施時間。
早寝・早起きをして、勤務先に早めの時間帯に出社することが多くなった共働きママたち。5年前と比較すると、早朝のうちに夕食を作ってしまう“朝家事”の実施率が減少傾向となっていました(図表E)。一方、夕方帯の夕食作りは増加しました。
もう一つの特徴は、テレワークの定着により(2021年調査時点での共働きママのテレワーク実施率は、週1以上が約43%)、お昼休み中の“食料品・日用品の買い物”が僅かですが増加傾向にあることです。家の中での家事は、夕方帯が増加し、家の外へ出る家事は、夕方帯以外が増加するという結果となり、コロナ禍でより進んだ朝型化・テレワーク勤務といった生活環境の変化が、共働きママたちの家事時間にも変化をもたらしてる様子が伺えました。

ママたちの家事時間の変化は、今後どうなっていくでしょう。通勤電車などの密を回避したい意向からの早めの出勤(=早起き)、テレワークの実施は続いていく可能性が高く、共働きママたちの生活パターンはコロナ前とは異なったものとして定着していくと予想できます。そのような中で、共働きママたちにとって、“早朝”“昼休み”といった特定の時間帯は、これまでの過ごし方とは違う新たな行動を起こす時間帯になるかもしれません。
“早朝から勤務先付近でできること”や、“昼帯に自宅付近でできること”、今は行われていないようなことも、今後ママたちのニーズに合致することで、新たな消費行動として定着していく可能性があるのではないでしょうか。
<調査概要>2021年「子育て家族に関する調査」
- 調査地域 : 首都40㎞圏(東京を中心とする40Km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
- 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25~49歳の既婚男性・女性 計1,800サンプル
夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢で割付) - 調査期間 : 2021年8月31日(火)~2021年9月13日(月)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。