共働き家庭の大型出費、決定権は誰の手に?

イマファミ通信 VOL.50

イマドキファミリー研究所では、多数派となった共働き家庭の気になるお金事情を深掘りすることを目的として、2022年度に「共働きママのお金に関する調査」を実施しました。
今回のイマファミ通信では、同調査から共働き家庭における“大型出費の決定者” についてご紹介します。
※全国の大学生以下の長子がいる共働き家庭の女性を対象に調査を実施しました。
※本記事における「共働きママ」は、自身および配偶者が共にフルタイムで働いていて、子供がいる女性を指しています。

貯蓄額も子供の習い事の費用も、決定者はママ

まず、大きな出費の決定者について見ていきます(図表A)。 各大型出費のなかで、「自分」または「どちらかというと自分」が決定していると回答した人の割合を示す“自分(ママ)決定計” が最も高かったのは「必要な貯蓄額」で52.2%でした。次いで、 「子供の習い事・塾にかける費用」(51.6%)、「旅行にかける費用(45.9%)」が続き、多数の項目でママのほうに決定権があることが分かりました。大型出費のママの決定権の高さは、家計の管理を主にママが担当していること(VOL.46の記事参照)と関係していると考えられます。

若年層家庭は、大型出費も“夫婦二人で”決定

今度は、図表Bにて、大きな出費を “自分と配偶者の二人で” 決定すると回答したケースについて見てみます。
“自分と配偶者の二人で”決定する大型出費は、「白物家電」が47.1%でトップ、次いで、「テレビ・パソコン・カメラ・AV機器」(45.9%)、「自家用車」(45.7%)が続きます。
共働きママの年齢別で比べると、20~34歳の共働きママでは、全ての出費項目において、上の年齢層よりも“自分と配偶者の二人で” 決定するスコアが高い傾向が見られました。これまでの調査から、若年層の共働き家庭ほど、夫婦間で情報を共有しあうことや、悩みや迷いごとを相談する傾向が高いことが明らかになっており、このような若年層夫婦の関係性が、大型出費において夫婦二人での決定率が高い要因となっていると推察されます。
また、“自分と配偶者の二人で”のスコアが最も高い「白物家電」について着目すると、若年層ほど夫が家事に積極的に参加しており、家電を二人で使う機会やその意識が高いことが考えられます。これらのことから若年層家庭ほど二人で相談して決めている様子がうかがえます。

以上の結果から、大型出費の決断において、貯蓄額や子供の習い事の費用などママが決定することが多い、といったママ主体の傾向が見られましたが、年齢による違いも明らかになりました。VOL.46の記事内で紹介した通り、 20~34歳の共働きママは、生活費の管理について「二人で全て管理している」と回答する率が上の世代のママたちより高い傾向が見られましたが、大型出費の決定に関しても「夫婦二人で考えて、決定していく」風潮が高まっていることが推察できます。
今後は、ママやパパの単独のインサイトを捉えるだけではなく、“家庭内で二人で相談する”プロセスを経るということを鑑みたコミュニケーションの設計が重要なポイントとなりそうです。

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%とならない場合があります。

<調査概要>2022年「共働きママのお金に関する調査」

  • 調査地域 : 全国
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 20~40代の既婚女性 計2,000サンプル 長子が大学生まで
         夫婦と子供のみの世帯/夫婦のみの世帯(子供は、寮生活や一人暮らしでも可)
         ※平成29年就業構造基本調査を参考に、居住エリア×ママの年代別で割付
  • 調査期間 : 2022年8月26日(金)~2022年9月5日(月)

上記ライター河野 麻紀
(ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

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    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。