
共働きママは専業主婦ママよりも
「ママと中学生の子供」でのお出かけに積極的
まず、グラフAより、普段の休日における「パパとママと子供」家族揃っての月1回以上のお出かけ率をみてみます。共働きママ、専業主婦ママともに、乳幼児(0-2歳)とのお出かけ率が最も高く、子供が成長するにつれてお出かけ率が減少する傾向がみられました。特に中学生の子供との月1回以上のお出かけ率は、共働きママ、専業主婦ママともに5割程度まで下がっています。
続いて、グラフBにてパパ不在の「ママと子供」のお出かけをみてみます。共働きママでは、グラフAの家族揃ってのお出かけと同様に子供の年齢が上がるとお出かけ率がやや下がる傾向がみられましたが、「中学生」の子供とママの月1回以上のお出かけ率は6割を超えています。この共働きママの「ママと中学生の子供」とのお出かけ率(62.0%)の高さは、専業主婦ママのお出かけ率(36.0%)と比べても約30pt高く、大きな差がみられ、共働きママ独自の傾向と言えそうです。
また、この共働きママの中学生の子供とのお出かけ率は前述のグラフAの「パパとママと中学生の子供」家族揃ってのお出かけ率(48.0%)も上回る結果となりました。共働きママは子供と過ごす時間を捻出するため、お出かけを子供とのコミュニケーションの場としてとらえ、子供が成長しても積極的に「ママと子供」でお出かけしているのかもしれません。


「共働きパパと乳幼児の子供」の月1回以上お出かけ率は7割
今度は、ママ不在の「パパと子供」の長子年齢別のお出かけについてみていきます(グラフC)。
共働きパパは、長子のすべての年代において、妻が専業主婦パパのお出かけ率を上回る結果となりました。なかでも注目したいのが、「乳幼児0~2歳」の子供とパパのお出かけ率です。共働きパパと乳幼児の月に1回以上のお出かけ率は7割で、妻が専業主婦パパのお出かけ率5割と比べても、とても高いことがわかります。さらに、妻が専業主婦パパでは「パパと乳幼児の子供ではお出かけしない」が26.0%を占めるのに対し、共働きパパでは14.0%に留まりました。共働きパパは普段から家事や育児への関与が高く、夫婦間でも役割をシェアすることから、家族揃ってだけではない「パパと子供」のお出かけが妻が専業主婦パパよりも多いと考えられます。

共働き家族では、平日に子供と過ごす時間が限られていることから、専業主婦家族に比べて「ママと子供」「パパと子供」でのお出かけに積極的で、特に共働きママの中学生の子供とのお出かけ率は顕著に高いことが明らかになりました。中学生ともなれば交友関係も広がり、部活や習い事などの多忙さに加え、思春期とも重なる難しい年頃でもありますが、イマドキの親子は限られた時間のなかで、お出かけを適度な距離感を保てるコミュニケーションの機会ととらえて、フラットで良好な親子関係を築いているのかもしれません。「家族揃って」のお出かけの良さはもちろんありますが、「ママと子供」「パパと子供」のお出かけだからこその体験や親密な会話から子供との絆が深まることもありそうです。今後も、このように「家族のお出かけ」の家族像が多様化していることや、家族の関係性の変化をとらえ、子供の成長にかかわらず仲の良い親子をそっと後押しするような商品・サービスの開発やコミュニケーションを行っていくことがポイントとなりそうです。
<調査概要>2019年度 『共働き家族のお出かけ調査』
- 調査地域 : 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
- 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象 : 中学生以下の長子がいる25~59歳の既婚男女 計1000ss
夫婦同居であること。親同居者は除外。
(女性側の勤務形態と子供の年齢で割付) - 調査期間 : 2019年7月5日(金)〜8日(月)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。