コロナ禍により、パパたちに生まれた意識・行動の変化とは

イマファミ通信 VOL.31

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
当研究所では2020年度の調査研究第一弾として「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」に関する調査を行いました。 VOL.29・30では「コロナ禍によるママたちの意識・行動の変化」をお伝えしましたが、今回はパパにフォーカスして、お伝えします。
※今回の調査は首都40km圏/中京圏/関西圏の3エリアで実施しています。

共働きパパのテレワーク実施率は首都40km圏が最多

Vol.29では、共働きママのテレワーク実施率について、首都圏のママでテレワーク実施率が高いという結果をお伝えしましたが、首都圏のパパではより一層テレワークが浸透していることが分かりました。
図表Aは2020年6月末の調査時点でのパパのテレワーク実施状況を「首都40km圏」「中京圏」「関西圏」で比較したものです。週1日以上テレワークをしている共働きパパは首都40km圏で47.8%と約半数に迫っていました。週3日以上の高頻度テレワーク者も32.2%と、いずれも中京圏・関西圏よりも大幅に高い数値となっていました。また、妻が専業主婦のパパについても首都圏でテレワーク実施率が高いという結果になりました。

また、今後の働き方としてテレワークをどの程度取り入れたいかについても、現状の実施率と同様に、首都圏のパパが高い頻度でのテレワークを望んでいることが分かりました。
一方で、中京圏・関西圏のパパは共働き世帯・専業主婦世帯ともに「実施したくない」が4割を超えて高く、テレワーク志向が低めであることが分かりました。

テレワークで変わる、共働きパパの生活スタイル

主に首都圏を中心に浸透している様子が見られたテレワーク。このテレワークという働き方によって、パパたちの毎日の生活スタイルや意識についても変化が見られました。
図表Cは、コロナ禍前と比較して「家事や買い物」についてどのような変化があったのかを表しています。テレワークを実施している共働きパパでは、「週末に行っていた家事や買い物」を「平日に行うようになった」割合が5割以上と高い結果となり、テレワークという働き方によって家事や買い物の仕方に変化が生まれた様子が浮き彫りになりました。
次に「平日の買い物にかける時間」を表した図表Dを見てみましょう。共働きパパ・ママともにテレワークの日の買い物時間は20分程度でしたが、共働きパパの「出社の日」の買い物時間は9分と、テレワークの日の方が買い物時間が長くなっていることが分かりました。これまで主流だった家事や買い物を週末にまとめて行うというスタイルが、平日に分散して行うスタイルに変化していることがうかがえることから、従来の行動動線とは異なった視点での考え方が必要となりそうです。

共働きパパの家事シェアは定着、専業主婦パパもテレワークで変化の兆し

最後に、共働きパパの家事実施率について紹介しましょう。図表Eに挙げた日常的な家事について、共働きパパは妻専業主婦パパと比較するといずれの項目も顕著に高く、ママと家事をシェアして取り組んでいる様子がうかがえました。
また、妻が専業主婦のパパについても、テレワークの実施有無で家事実施率に違いが見られ、妻が専業主婦のパパでもテレワーク実施パパでは、テレワーク非実施パパに比べると、家事実施率が高くなっていました。

コロナ禍によって、共働きママ同様に共働きパパも大きく生活スタイルや意識を変化させざるを得ない状況に直面しました。家族単位での行動が中心になる中で、共働き家庭のパパも専業主婦家庭のパパも、これまで以上に家庭や子供に関わり、夫婦で何事もシェアし、家族で分かち合っていくスタイルが増加していくのではないでしょうか。更にテレワークが浸透すれば、平日・休日の概念も変わり、今回の調査結果で紹介した通り、従来は休日にしていた行動がさらに平日に広がっていく可能性があります。そこに新たな消費の可能性が眠っているかもしれません。

未だかつてない生活スタイルが始まった現在、子供を中心としたファミリーの在り方・暮しの仕方・気持ちなど、様々な面で変化がもたらされようとしています。イマドキファミリー研究所では変化していく家族のニューノーマルを探しながら、今後も彼らのニーズやインサイトを捉えていきたいと考えています。

「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」調査

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
         ●中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)
         ●関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計2160ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2020年6月25日(木)〜7月1日(水)

上記ライター荒井 麗子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

>記事一覧はこちら

>記事一覧はこちら

  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

  • 澤 裕貴子
    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

  • 河野 麻紀
    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。