
コロナ禍が続く中で、子育てファミリーは子供の成長・学びに関してどのように対処しているでしょうか。今回の記事では子供の習い事についてご紹介したいと思います。
イマドキ小学生の習い事、「スポーツ系」の実施率は約5割。
小学生の習い事では「スポーツ系」の実施率が高く、共働きママ・専業主婦ママのそれぞれ長子小学校1~3年、長子小学校4~6年のいずれの属性でも、約半数の子供達が習っていることが分かりました。他の習い事では、ママの働き方や子供の年齢でやや差が見られ、共働きママの長子小学校4~6年では「知育/学習系」の習い事実施率が約46%と、他属性と比べて高くなっています。専業主婦ママの長子小学校4~6年でも、同じ専業主婦ママの長子1~3年の子と比べると「知育/学習系」の習い事実施率は30%と高くなっています。
一方「音楽系」の習い事は、共働きママ・専業主婦ママ共に、子供の年齢が上がると、習い事実施率が下がる傾向にあることが分かりました。「知育/学習系」の習い事の実施率が上がるので、スケジュールや費用の関係で、他の習い事を辞めざるを得なくなるのかもしれません。

月額約27,000円、子供1人にかける習い事費用。
子供の年齢と共に高額に。
月々の子供の習い事の費用(長子1人にかける費用)を聞いたところ、いずれの属性でも「1万円以上3万円未満」が4割台で最も多くなりました。子供の年齢が上がると、共働きママも専業主婦ママも、習い事の費用が月々5,000円~6,000円程度アップすることも見て取れます。
また、共働きママの長子小学校4~6年では「5万円以上」が約17%と、高額な習い事費用を支払っている人の割合が高くなっています。前述の「知育/学習系」の習い事実施率が高いことと関連がありそうです。
1ヶ月あたりの習い事平均金額については、共働きママ長子小学校4~6年が約27,000円、専業主婦ママ長子小学校4~6年が約21,000円と、約6,000円ほどの違いがありました。

子供の習い事は引き続きリアルに需要あり。
多くの子供が実施している習い事ですが、コロナ禍でその習い方に対する意向に変化があったのか調べてみました。図表Cでは、「子供の習い事」と「自分の習い事」それぞれで、習い方はリアルがよいかどうかを聞いたものです。
共働きママでも専業主婦ママでも、「子供の習い事」に関して、「リアルがよい」という意見が強く、コロナ禍においても「リアルで行って欲しい」という要望が強いことが分かりました。特に「運動系」「音楽系」など体を使う習い事でその傾向が強いことが分かりました。

一方、ママの「自分の習い事」としては、「子供の習い事」と比較すると、リアルへのニーズは低めとなっていました。ただし、共働きママ・専業主婦ママ共に半数以上は自分の習い事についても「リアルがよい」と回答しており、習い事はリアルで習いたいという気持ちが全体的には強いということが分かりました。
現在、新型コロナウイルスの影響によってGIGAスクール構想が急速に進み、1人1台の端末を持っている子供達が多数派になりつつあります。しかし、まだまだ「学びの場はリアルで」といったママのニーズが強いことが分かりました。その理由としては、オンラインの限界(音楽系やスポーツ系等の実践的なものは困難)であったり、自宅では子供のモチベーションの低下や親の負担の増加など、オンラインならではの課題があるからだと思います。
リアルからオンラインへ、子供達の習い事の場を広げていくためには、リアルとオンラインのそれぞれ両方のよさを提供できるサービスの実施、教え方のスキルの向上など中身の充実に加え、家庭の負担をいかに減少させられるかという課題解決が必要になりそうです。
イマドキ家族の子供への意識実態調査
- 調査地域 : 首都40km圏(東京を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
- 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象 : 長子が小学校6年生以下の25~49歳の既婚男性・女性 計1,591サンプル
夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢で割付) - 調査期間 : 2021年2月10日(水)~2021年2月18日(木)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。