こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。
前回に続いて、第7回目もパパに関する話題をお届けします。今回のテーマは「ブランド決定力」。2016年度の調査に基づいて、共働きパパが買い物での商品選びにどれだけ主体的に関わっているのかを探ってみます。チームの活動とプロジェクトの目的についてはVOL.1の記事に詳しく掲載しているので、そちらもぜひお読みください。
日々の買い物を行う共働きパパは5割超。ブランド決定率も高い傾向に
第6回のレポートで、共働きパパの家事実施率が高いことをお伝えしました。中でも「日々の食料品や日用品の買い出し」の実施率は妻が専業主婦のパパよりも30ポイントも高く、共働きパパの半数以上が日々の買い物を行っていることが明らかになりました。
まずは、共働きパパと妻が専業主婦のパパの商品購入率比較(グラフA)から見ていきましょう。これは購入率を比べたとき、両者の差が大きい上位5商品です。共働きパパの「粉ミルク・ベビーフード」「おむつ」といった子供用品の購入率は5割を超え、妻が専業主婦のパパよりも30ポイント程度高くなっています。また、共働きパパでは「ハンドソープ・石けん類」「掃除用洗剤」など日用品の購入率も高いことがわかります。
続いて、こうした商品のブランド決定率(グラフB)を見てください。どれくらいのパパがブランド決定に関与しているのかがわかるのがこのグラフです。子供用品の「粉ミルク・ベビーフード」「おむつ」では半数近くの共働きパパがブランド決定に関わっていて、日用品の「ハンドソープ・石けん類」「掃除用洗剤」においてもその割合は4割を超えています。いずれも妻が専業主婦のパパよりも20ポイント以上高いという結果になりました。

これらのデータから、共働きパパの日常の買い物は、「ママに頼まれた通りにパパが買ってくる」という従来の「おつかい」のイメージではなく、子供用品であれ日用品であれ、自分でブランドを選び購入しているという実態が見えてきました。
子供用品も日用品も、これからの時代はパパも有望なターゲットに
共働きパパの商品購入率・ブランド決定率が高い傾向は、25〜39歳の若いパパほど顕著に現れたため、この世代に絞って、共働きパパと妻が専業主婦のパパの買い物・ブランド決定傾向を比較してみました(図C)。
25〜39歳の共働きパパにおいては、購入率・ブランド決定率ともに高いゾーンに、自分が消費する「お酒」「コーヒー」「大人が食べるための菓子類」だけでなく、先に述べた日用品から子供用品までが含まれていることがわかります。一方で、同じ世代の妻が専業主婦のパパにおいては、購入率・ブランド決定率ともに高い商品は「お酒」のみ。子供用品や日用品にいたっては、ブランド決定率どころか購入率も50%に満たないという結果に。
日頃から家事・育児実施率が高い共働きパパだからこそ、それに関連した商品のブランド決定に関わっているということがうかがえます。


今回取り上げたデータから、比較的若い世代の共働きパパたちが、日用品や子供用品のブランド決定に少なからず関与していることが浮かび上がりました。これまでママだけをターゲットとしていた商品カテゴリーについて、今後はパパもコミュニケーションターゲットとして捉えていくことで、新たな可能性が広がるのかもしれません。
「2016年度 共働き家族の実態調査」
・調査地域:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
(東京駅を中心とする40km圏)
・調査方法:インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
・調査対象:末子年齢が0〜9歳の、25〜49歳の既婚男女1710ss
夫婦同居であること。親同居者は除外。
(女性側の勤務形態と子供の年齢で割付)
・調査期間:2017年2月10日(金)〜19日(日)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。