こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。VOL.4では2015~2016年度の調査に基づき、共働きママの買い物動向を軸に移動時間の活用実態について考えてみました。チームの活動とプロジェクトの目的についてはVOL.1の記事に詳しく掲載しているので、そちらもぜひお読みください。
電車内の時間を有効活用。帰路は食事メニューを考える時間?
前回の記事では、仕事・家事・育児に忙しい共働きママたちが上手にタイムマネジメントをしている実態をお伝えしました。それを踏まえて今回は、共働きママたちの時間の使い方について、もう一歩踏み込んで考えてみようと思います。 まずはじめに、電車内の時間に関する2015年度の調査から見ていきましょう。 「電車移動中の時間は有意義(仕事や私用、学習等)に使いたい」と考えているママの割合は、専業主婦ママよりも共働きママのほうが大きく上回っているのがわかります(グラフ A)。

次に、共働きママの、電車内での意識の中で、「買い物」について細かく見てみました (表B)。 実際に、電車内で買い物について考えた共働きママが思い浮かべた品目については、往路・帰路ともに「肉・魚・野菜」といった生鮮食品が1位。2位以降については、往路では意外にもファッション・ファッション雑貨やベビー・子供のファッション等が2位、3位にランクイン。 それに対して、帰路では2位が生鮮品を除く食料品、3位がパンというように、その日の夕食の材料や、翌日の朝食について考えていると思われる結果になっています。同じ電車移動でも、行きと帰りでは意識が違っているのですね。

忙しく働くママは、駅ナカ&電車内ネットショッピングで買い物を効率化
続いて、2016年度の調査データから、駅構内の店舗や駅ビルの利用について注目してみましょう。 「駅構内の店舗・駅ビル内での、週1日以上商品購入・サービス利用率」(グラフ C)を見ると、共働きママは実際、駅構内での店舗やカフェを盛んに利用している実態がわかります。家庭で使用するものの買い物については専業主婦ママと同程度ですが、ファッションの買い物やカフェ利用などは共働きママの利用率のほうが高く、スキマ時間で効率よく買い物を済ませている様子がうかがえる結果となっています。

また、実店舗ではなく、モバイル端末を活用したインターネットショッピングでも、共働きママの買い物におけるスキマ時間活用術が見えてきます。 「電車内・駅構内でのインターネットショッピング利用率」(グラフD)を見ると、通勤・帰宅途中のデンナカ(電車内)や駅ナカで1週間以内にモバイル端末でショッピングサイトの閲覧をした共働きママが30%以上、実際に購入にいたっている人も15%ほどおり、合計すると利用率は半数近くにもなります。

忙しい共働きママは実店舗としての利用だけでなく、インターネットショッピングをする場としても「駅」や「電車内」を活用し、「移動時間」を有効に使っている様子がわかりました。 こうしたことから、単なる移動時間であっても、行きと帰り、それぞれのシーンごとのインサイトを捉えることで、消費に結びつくと考えられます。企業がコミュニケーション戦略を考えるにあたり、この視点がとても重要になるのではないでしょうか。
「2015年度 ワーキングマザーに関する調査研究」
・調査地域:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
・調査方法:インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
・調査対象:20〜49歳女性 1600ss ワーキングマザーについては長子18歳未満 (勤務形態と子供の年齢で割付)
・調査期間:2015年11月13日(金)〜23日(月)
「2016年度 共働き家族の実態調査」
・調査地域:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
・調査方法:インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
・調査対象:末子年齢が0〜9歳の、25〜49歳の既婚男女1710ss 夫婦同居であること。親同居者は除外。 女性側の勤務形態と子供の年齢で割付)
・調査期間:2017年2月10日(金)〜19日(日)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。