
こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
もうすぐ入園・入学シーズンがやってきます。子どもたちの晴れやかな姿とは裏腹に、保護者は入園・入学・進級準備に追われる季節でもあります。パパの家事や育児への関与は増えてきているとはいえ、これらの準備をはじめ、保護者会やPTAについては共働き・専業問わず、ママに役割が偏りがちなのが実情です。今回はそんなママたちの奮闘する姿についてご紹介します。
入園・入学に必要なグッズ、共働きでも手作り多数
保育園や幼稚園(以下、園)の入園・小学校入学に際して、ランチョンマットや袋類など多くのものを準備する必要があります。園・小学校用品の準備方法【グラフA】にあるように、それらを準備したことがあると回答したママたちの中で、「既製品を購入した」割合は共働きママの方が多く、逆に「布やパーツなどを個別に選んで自分で作った」割合は共働きママの方が少ない結果でした。
このことは、イマファミ通信で過去ご紹介している共働きママの時間的な余裕のなさから容易に想像できますが、既製品購入の次に「布やパーツなどを個別に選んで自分で作った」割合が高く、35.7%もいるということは、意外に多いと感じられます。
近頃多くなっている「ハンドメイド通販での個人へのオーダー」においては、忙しい共働きママには需要があると思われましたが、共働きママ・専業主婦ママの間にあまり差はありませんでした。

背景にある事情と、ママたちの思い
この結果を見て、意外にも「手作り」が多いと感じましたが、「裁縫が好き」「手作りしたい」という理由は少数派でした。
手作りした理由の大多数は、共働き・専業を問わず、「子どもの好きな柄・キャラクターで作ってあげたい」という理由でした。また、既製品やオーダーを利用しているママも、「子どもの好きな柄だったから」という理由が多く見られました。キャラクターへの愛着が高まる年代の子どもたちにとって、「好きなキャラクター」の柄であるということは、園・学校生活へのモチベーションを上げるためにも重要な要素であるようです。
次に多く見られたのは「指定のサイズがない」という理由でした。園や学校によって、防災頭巾カバーからランチョンマットまで細かくサイズ指定があるようです。それに合わせて一つ一つグッズを探して購入するよりは、「大きな布を買ってまとめて作る方が逆に楽」という理由もありました。このように「子どもの好きな柄」で「指定のサイズ」という条件で揃えようとした場合、既製品を選ぶのも探すのも一苦労であることが想像できます。そのためやむを得ず手作りしているというママも多くいるようです。
また、近年個人への依頼もしやすくなり、一般的になってきた「オーダー」も、「面倒」や「手間」を減らすためというよりは、それらの条件で揃えるためというのが一番の理由でした。加えて、「手作り指定」のある幼稚園や保育園もあるそうで、ミシンがない、裁縫が得意でないというママたちにとっても「オーダー」は需要があるようです。
「手作りしたい」と考えるママは、「愛情や温もりを感じて、大事に長く使ってほしい」「他の子と違う柄のものを持たせたい」という思いがあり、手作り派のママたちにとって、これらのグッズは、入園・入学を祝うタイミングでの“少しだけ特別なプレゼント”という意味合いもあるようです。

園や小学校の行事の参加が少ないパパ
登園や小学校生活が始まると、「保護者会・行事・PTA」といった用事が増えますが、パパ・ママどちらが参加しているのか、実態を調査しました。
【グラフC】を見ると、「主にパパ(配偶者)」が参加しているという割合は、平日・休日を問わず、ごく少数という結果になりました。休日の行事では「夫婦2人で」が大多数であるものの、それ以外の用事については平日・休日を問わず、ほぼ「ママ」が担っていることが分かります。
共働きママにおいても、平日のPTAや保護者会への参加は、専業主婦ママよりも1割近く少なく、その分「夫婦2人で」が多くなっているとは言え、9割近くが「主にママ」が行っています。休日は「夫婦2人で」が増えますが、「主にパパ」という回答はほぼゼロという結果でした。ママ自身が自分の役割と考えて参加しているとも考えられますが、大きな負担になっていることは間違いないでしょう。

コロナによって促進されたデジタル化の波は、共働きママには救世主?
【グラフD】は、コロナ禍に実施した調査で、園や学校の個人面談について、「オンライン」「リアル」のどちらが良いかを聴取したものです。この結果から、全体的にオンラインよりも「リアルの場で話したい」と考える割合の方が高いことがわかりました。 その傾向が最も強かったのは専業主婦ママでしたが、より積極的に「リアルで話したい」とするTOP1(Bに近い)では共働きママが最も割合が高いという結果になりました。
そして、「オンラインで実施が良い」のTOP1(Aに近い)で共働きママが最も割合が高く、 TOP2(Aに近い+ややAに近い)でも専業主婦ママより高くなっています。個人面談という場では、「先生と密にコミュニケーションをとりたい」「普段の子どもの様子を対面で詳しく聞きたい」という気持ちがあるのと同時に、時間と場所の都合をつけやすい「オンライン」にも利便性を感じているようです。

園や学校の準備・行事にも、手段の多様化は求めつつ気にするのは「子どもの気持ち」
必要なグッズの準備においても、園や学校に関連する用事も、ママたちにとっては「子どもの園・学校生活が良いものになる」ことが一番重要で、それらは毎日の家事とは違って、時短・簡単が必ずしも正解というわけではないようでした。ただし、手段の選択肢が拡がることについて、特に忙しい共働きママが歓迎しているのは間違いないようです。
「子供用品に関する共働きママの意識」調査
- 調査地域 : 1都3県
- 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象 : 長子小学校3年生以下の25〜49歳の既婚女性 計660ss
夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢で割付) - 調査期間 : 2020年2月28日(金)~ 2020年3月4日(水)
「子供用品に関する共働きママの意識」調査
- 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
●中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)
●関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県) - 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計2160ss
夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付) - 調査期間 : 2020年6月25日(木)〜7月1日(水)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。