
こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。チームの活動とプロジェクトの目的については VOL.1の記事をご覧いただくとして、VOL.2からはプロジェクトの研究データを基にトピックスを紹介していきたいと思います。
イマドキワーママ、6つのクラスターとそれぞれの特徴
今回ご紹介するのは、ワーキングマザーの6つのクラスターに関する考察です。
私たちは「2014年度ワーキングマザーに関する調査」の結果を基に、家事・仕事・育児意識により以下の6つのクラスターに分類しました。分類の対象は1都3県在住で第一子が9歳以下、勤務形態は問わず週20時間以上勤務している母親です。
1)育児も仕事も余裕でこなす”ハッピーワーママ”

「ママ」という役割を最も楽しみ、育児、仕事、家事すべてをポジティブにこなすママたち。
6タイプのうちでは労働時間が最も長いのですが、その分、配偶者の育児・家事へのサポートが比較的得られていると考えられます。
子供と家族、自分に対する消費意欲が旺盛なのがこのタイプの特徴です。
2)効率重視”仕事大好きワーママ”

仕事が大好きでキャリアアップを目指し、仕事を自己実現の手段と考えているママたちです。
仕事重視で、子供と離れる時間の必要性や、家事は多少手を抜いてもよいという意識が高いため、配偶者の育児・家事負担率も高いのが特徴。
自分のキャリア志向を反映しているためか、子供の習い事への支出が最も高いのがこのタイプです。
3)いつまでも私が子供”マイペースなゆとりワーママ”

自分の親との同居率が高く、平均年齢が33.8歳と6タイプの中では最も若いママたちです。
育児や仕事に対する意識はあまり高くありません。「ママ」としての役割については人任せなところがあり、生活全般にわたって配偶者や自分の親に頼っている姿が浮かびます。
ママになっても出産前と同じ旺盛な消費意欲をキープ。
4)子供にお金をかけられない”家計支援ワーママ”

家計支援のために仕事を続けているママたちで、仕事への意欲は低め。
配偶者や周囲からの育児・家事サポートはあまり得られていないと考えられます。
家事や育児へのモチベーションもあまり上がらず、子供にもお金をかけてあげたいと思っていても、日々の節約でお疲れ気味のようです。
5)仕事は子供への投資金稼ぎ”育児全力ワーママ”

その分、キャリア志向は低めで、仕事は子育てをより充実させるための手段と考えている傾向があります。
配偶者や祖父母からのサポートも手厚く、子供に関する消費には積極的で、子供関連支出の消費単価が高いのがこのタイプの特徴です。
6)育児も仕事もなんとなく”ゆるく働くドライワーママ”

子供の年齢が高く、子育て中心の時期を卒業したママたちで、育児・家事への意識が低下傾向にあります。
仕事は続けるものの、家計の足しになるよう無理なく働くスタンスであり、キャリアアップへの関心は低め。
配偶者の家事分担は少なく、家事が楽になるための消費は惜しみません。
世の中の変化を反映? 働きながらも「ママ」という役割をポジティブに楽しむワーキングマザーが約4割
このクラスター分類を基に、マーケティングターゲットとしてワーキングマザーを考えてみましょう。
ターゲットとして最も有望なのが、年収が比較的高く消費意欲が旺盛な“ハッピーワーママ”、続いて子供のための投資を惜しまない”育児全力ワーママ”です。この2つのクラスターの共通点として、自分自身が育休や時短といった勤務制度がきちんと整えられた環境下で働いていることが考えられます。さらに、配偶者や祖父母からの育児・家事サポートが比較的充実しているという点も挙げられます。
ママへのサポート環境が比較的整っていることから、ママ自身に家事・育児面でのゆとりがあり、そのことがさらに、仕事や家事・育児に対してポジティブな気持ちで向き合わせている。そのような好循環がありそうです。こうしたワーキングマザーたちが全体の約4割を占めるという最近の状況は、少しずつ世の中が変わり始めている兆しなのかもしれません。
世の中の変化とともに、ポジティブに育児と仕事の両立を楽しむママたちが、この先どういったサービスや商品、暮らし方を求めていくのか。イマドキファミリー研究プロジェクトチームでは、今後も彼女たちに注目していきたいと思います。
「2014年度 ワーキングマザーに関する調査研究」
・調査地域:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
・調査方法:インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
・調査対象:長子が0〜9歳の、20〜49歳女性1304ss
(勤務形態と子供の年齢で割付)
・調査期間:2015年2月10日(火)〜13日(金)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。