お弁当箱内のシェア争いを制する商品に必要なこと

イマファミ通信 VOL.56

新年度が始まり、子供のお弁当を作ることになったという家庭も多いのではないかと思います。そこで今回は、「お弁当作りの意識」をご紹介します。共働きママと、専業主婦ママで大きな違いが無かったため、今回は、両者を合わせた「ママ計」で、「日々のお弁当作り」と「特別な日のお弁当作り」を比較してみました。

子どもが喜んで食べてくれることを最重視

日々のお弁当でも、特別な日のお弁当でも、「子供が好きなメニューにする」が最も高く、「栄養バランスに気を付ける」を大きく上回る結果となっています。お弁当だけで栄養バランスをとろうとするのではなく、1日のトータルでバランスがとれればよいと考えているのではないでしょうか。また、「彩りがきれいになるようにする」意識も、日々のお弁当と、特別な日のお弁当での差は見られませんでした。
お弁当は、子供が好きなメニューで、ふたを開けた時にテンションが上がること、子どもが喜んで食べてくれることを何よりも大切にしているのだと考えられます。

一方、「日々のお弁当」が「特別な日のお弁当」に比べ10ポイント以上高かった項目は、「簡単に用意できるものにする」「栄養バランスに気を付ける」「定番メニューを決める」でした。

お弁当作りで、時間的余裕を生み出すには?

次に示すのは、毎日の生活について「時間的余裕がある」と回答しているママと、「時間的余裕がない」と回答しているママの比較です。
それぞれのママの「日々のお弁当」作りの意識をみると、いずれのママでも、「子供が好きなメニューにする」「簡単に用意できるものにする」が上位の意識となっていました。
また、「市販の冷凍食品をなるべく入れないようにする」は時間的余裕の有無にかかわらず1割程度と低い水準であり、市販品に頼ることを前提としている様子もうかがえます。

10ポイント程度の差がみられたのが「定番メニューを決める」という点です。時間的余裕があるママが「定番メニューを決める」ようにしているというよりも、「定番メニューを決める」などの工夫で、時間的余裕を生み出しているものと推察されます。
当研究所の朝食に関する調査研究でも、共働きママにおいて「朝食メニューをパターン化することで乗り切る」様子が見られましたが、お弁当についても、「定番」を決めることで、お弁当作りの時間をスムーズにしているものと思われます。

冷凍食品も活用するのが当たり前になったイマドキのお弁当作り。「彩りが良いこと」や「毎日のお弁当の定番として使いたくなること」が“お弁当箱内シェア”獲得のカギだとすると、市販の商品開発においてはメインのおかずだけでなく、毎日のお弁当にそっと寄り添う副菜にこそチャンスがあるのかもしれません。また、時間的余裕がないママでは「栄養バランスに気をつける」が、時間的余裕があるママよりやや低くなっています。これは「栄養バランスが気にならない」のではなく、「気にする余裕がない」のだと考えられます。「一品追加することで栄養を補える商品」があるとしたら、忙しい中でお弁当を作るママ、あるいはパパへの強い訴求となるのではないでしょうか。

イマドキ家族の子供への意識実態調査

  • 調査地域 : 首都40km圏(東京を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 長子が小学校6年生以下の25~49歳の既婚男性・女性 計1,591サンプル    
    夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢で割付)
  • 調査期間 : 2021年2月10日(水)~2021年2月18日(木)

上記ライター高野 裕美
(イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

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    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。