共働き家族の家事を「子供の有無」で比べてみると<後編>

イマファミ通信 VOL.48

前回のイマファミ通信VOL.47で、「共働きママ」と「共働き女性(子供なし)」の時間的余裕度の違いや、自炊頻度の違いを見てきました。今回は「現在子供のいない共働き夫婦」の、自宅での夕食の実際の写真をいくつかご紹介いたします。

遅い時間の帰宅後、スピーディにお腹を満たしたい

「子供のいる共働き家族」との違いがあるものをピックアップしてみると、「ファストフード」「パスタ」の夕食が目立つほか、「子供のいる共働き家族」の夕食ではほとんど見られなかった「パンだけ」などの単品の夕食、あるいは「お菓子だけ」の夕食が複数見られました。
「共働き夫婦(子供なし)」での夕食では、帰宅時間が遅いためにスピーディにお腹を満たせるものが好まれているのかもしれません。また、成長期の子供がいる「共働き家族」に比べて、食事の栄養バランスについて説かれることが少ないことも考えられます。

整理すると、以下のような違いとなっています。「忙しくて時間がない」「家事時間を短縮したい」という思いは同じでも、その解決方法には違いが見られました。共働きターゲットのマーケティングやコミュニケーションにおいても、同じ共働きでも異なるニーズがあるという点を念頭に置く必要があります。

共働き男性の家事実施、子供有無での違い

最後に、男性の家事実施率を見てみます。共働き夫婦では、子供の有無にかかわらず、男性の家事実施率は高い水準にありました。
「夕食作り」「トイレ掃除」については、共働きパパより、子供のいない共働き男性のほうが10ポイント以上実施率が高い結果となっていました。
特に「夕食作り」に関しては、大人だけの世帯の場合、成長に必要な栄養をとらせることを強く意識する必要がないために、家事担当のハードルが下がっているのかもしれません。あるいは、男性が自分の身体作りのために、ダイエット食や高タンパクレシピなど、育児とは違った視点で料理をしている可能性も考えられます。

「共働き子育て家族」と「共働き夫婦(子供なし)」では、時短ニーズや夫の家事実施率の高さは共通するものの、その背景にある意識は異なるという点を踏まえ、コミュニケーションを考えていく必要があると言えるでしょう。

2021年度「共働き夫婦に関する調査」

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
         ●中京圏(愛知県、岐阜県、三重県)
         ●関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)
         ※今回の記事においては首都40km圏のみのデータを使用しています。
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 25~39歳の既婚男女で子供がいない方 計1600ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外
         (女性側の勤務形態、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2021年11月26日(金)〜12月7日(火)

2021年度「子育て家族に関する調査」

  • 調査地域 : 首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子小学校3年生以下の25~49歳の既婚男性・女性 計1800ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外
         (女性側の勤務形態、子供の学齢で割付)
  • 調査期間 : 2021年8月31日(火)~9月13日(月)

2018年度 『イマドキ家族の食事に関する共同研究』
夕食の実態と支度に関する調査

  • 調査地域 : 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 満1歳〜小学校4年生以下の長子がいる25~49歳の既婚女性 978ss
         夫婦と子どものみの同居世帯である人。
         (女性側の勤務形態と子供の年齢で割付)
  • 調査期間 : 2018年6月8日(金)〜14日(木)

上記ライター高野 裕美
(イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

  • 澤 裕貴子
    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

  • 河野 麻紀
    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。