コロナ禍におけるパパの家事実施の変化

イマファミ通信 VOL.37

新型コロナウイルスの流行によるパパ・ママの意識行動変化について、イマドキファミリー研究所の研究実績をプレスリリースにて公表しています。
(詳しくは【テレワークが生むのは、ママのゆとりか?ストレスか?コロナ禍で強化された「家事シェア消費」と新たに生まれた「家族の絆消費」】をご参照ください)
その中でも少し掲載していますが、パパの家事実施について、さらに詳しくご紹介いたします。

共働きパパの家事実施率は、2016年度調査時より伸長

首都40km圏におけるパパの家事参加率(自分+ほとんど自分+妻と2人で)を、コロナ禍前の2016年度調査と比較した結果がグラフAです。2016年度調査時点でも、共働きパパの家事実施率は、妻が専業主婦のパパに比べて大幅に高い割合となっていましたが、2020年度調査では、さらに上昇。2016年度に比べて多くの項目で5ポイント以上アップしていました。

一方で、「日々の食料品や日用品の買い出し」については、三密回避のため夫婦で一緒に買い物に行く機会が減ったためか、ややポイントダウンとなりました。妻が専業主婦のパパについては、共働きパパの水準に比べると家事実施率は全体に依然として低いものの、2016年度と比べて「通常のゴミ出し」と「朝食片づけ」が5ポイント以上アップしていました。

テレワークが「朝の家事分担」を変えた

次に、家事実施率を、「テレワーク週1以上」のパパと、「週1未満または実施していない」パパで比べてみたのがグラフBです。共働きパパ・妻が専業主婦のパパのいずれも、「朝食片づけ」と「朝食作り」の実施率において、テレワークの有無で大きく差があるのがわかります。
 
テレワークが週1以上の共働きパパでは「朝食片づけ」実施率は60.9%の高水準。テレワーク週1未満または実施がない共働きパパと20ポイント以上の差がついていました。テレワーク週1以上の、妻が専業主婦パパでは「朝食片づけ」が33.4%と共働きパパに比べると低いものの、テレワーク週1未満または実施がない妻が専業主婦パパに比べ15ポイント以上の差がついています。

「朝食作り」に関しても、テレワーク週1以上のパパたちでの関与が高いという結果になりました。

新型コロナ禍による在宅時間の増加で、通勤時間が無くなったぶんの余裕が、朝食にまつわる家事シェアを促進したと考えられます。家族の朝のシーンの変化に寄り添った、商品やコミュニケーションの新しい提案が必要となってくるのかもしれません。イマドキファミリー研究所では、ニューノーマルで生活するイマドキ家族とのコミュニケーションについて、引き続き考えを深めてまいります。

<調査概要>
2020年度「コロナ禍におけるパパ・ママの意識・行動変化」調査

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
         ●中京圏(愛知県、岐阜県、三重県)
         ●関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計2160ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外
         (女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2020年6月25日(木)〜7月1日(水)

<調査概要>
2016年度「共働き家族の実態調査」

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計1710ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外
         (女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2017年2月10日(金)〜19日(日)

上記ライター高野 裕美
(イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

  • 澤 裕貴子
    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

  • 河野 麻紀
    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。