いまや17 歳以下の子どもがいる世帯における共働き率は74.2%に上るなど、家族をとりまく環境は大きく変化しており、マーケティングにおいても、変化し続ける家族のインサイトを捉えることが求められています。イマドキの共働き家族は、どのような悩みを抱え、どのような考えで日々の生活や子育てに臨んでいるのでしょうか?
2月27日に発売した新刊『進化するイマドキ家族のニーズをつかむ 共働き・共育て家族マーケティング』(ジェイアール東日本企画 イマドキファミリー研究所著)。「イマファミ通信」では、本書の概要を3回にわたってご紹介しています。
第1回:リアルな「共働き子育て家族」の実態、知っていますか?
第2回:共働きママは朝食メニューを固定化する。思考をアウトソーシングする「考えない戦略」とは?
※本記事は書籍の内容を一部編集したものです
イマドキ共働き夫婦 「3パターン分類」
コロナ禍以降、テレワークの普及によって働き方も多様化しました。その結果、同じ共働きでもさまざまな価値観や行動パターンが生まれています。以前の「イマファミ通信」でもご紹介しました通り、子育て中の共働き夫婦を、家庭運営の分担と、その分担に対する満足度をもとに3パターンに分類してみました。
本書でもこれらの分類分けした夫婦について詳しく紹介しています。
これからの共働き夫婦像 「ダブルス夫婦」
私たちは、この3パターンの中でも、特に「ダブルス夫婦」について注目しています。ダブルス夫婦は「妻が30代以下」の比較的若い層の構成比が高く、男性の育休取得率も4割と、非常に高い点が特徴です。今後、男性の育休取得率が増加すると、このようなダブルス夫婦が共働き・共育てファミリーの新定番スタイルになっていくのではないかと考えています。
「どちらがより稼いでいるか」は関係ない
ここからはダブルス夫婦の中でも「夫が育休を取得した世帯」にフォーカスして、今後の家族像について考えていきたいと思います。
育休を取得した男性(以下ダブルスパパと呼びます)は、家事や育児についてどんな意識を持っているのでしょうか。「ダブルス夫婦に関する調査」(2022年度。以下、ダブルス夫婦調査)では、「男女関係なく家事や育児もするのが当たり前だと思う」と回答したダブルスパパが57%でした。旧来の男性、女性の役割に捉われず、夫婦が対等な立場で家事育児に取り組む姿勢であることが見て取れます。
さらに、「配偶者との、休める時間を50:50にしたほうがいいと思っている」「自分が家事をすることで配偶者の労力を減らしたい」といった意識が、育休未取得の男性よりも高いのも特徴的です。
また、夫婦それぞれの就労時間に差があったとしても、同程度の休息時間を取りたいという意識を持っています。「稼いでいる人」「仕事が忙しい人」が優先されるべきという意識はありません。むしろ、自身が仕事で忙しい分、妻に家事育児の負担をかけてしまっていると感じている人が多いようです。
(続きは、本書にてご覧ください)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。