
こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。当研究所では、2021年度の研究として、家庭生活の運営におけるパパとママの関係性を分析しました。
夫婦と子からなる世帯(末子17歳以下)における共働き率は71.1%(2020年労働力調査より)を占め増加の一途を辿っています。そこで、改めて令和時代の共働きパパママがどのような役割分担で家庭運営を行っているのか、そこに紐づく意識を読み解き、夫婦の関係性を明らかにしました。
※夫婦パターンの分類方法
夫婦の【家庭運営の主体】【家庭運営の実行】の役割分担と、【分担に対する満足度】を聴取・分析し、パターン分けを実施しました。(詳細はページ末尾に掲載)
※本記事ではフルタイム共働きママへの聴取内容から読み解いています。
最新の共働き夫婦パターンは大きく3分類
本研究では、「日常生活/レジャー/子ども関連」ごとに【家庭運営の主体】【家庭運営の実行】を、パパとママどちらが担っているのか、それに対する満足度はどうかを聴取し、パターン分けをしました。
その結果、共働き夫婦は大きく3つに分類される結果となりました。そして、各夫婦パターンに紐づくさまざまなデータを読み解くことで、以下のような特徴が明らかになりました。
個人の時間も大切にするダブルス夫婦
家庭運営はフォローし合いながら乗り切るダブルス戦。互いの個人の時間も大切に

二人で家庭運営を行い、その役割分担にも満足している分類です。夫婦それぞれの年齢が比較的若く、他の分類ではパパの参加率が低い「子ども関連行事への参加」も42.8%と高くなっており、パパが積極的に育児に参加している夫婦です。家事育児はどちらか一方ではなく二人の役割として捉えているのが特徴です。
また、「休日は自分の時間を作って楽しみたい」が60.0%と、自分の時間を大事にする傾向があります。サポートし合うことで「親」としての役割に縛られすぎず、「個」としてのお互いの時間も尊重しているようです。「配偶者は頼れるパートナー」(81.7%)という意識も非常に高く、家事育児では阿吽の呼吸でお互いをフォローし合い、自分が楽しむことも忘れない「ダブルス夫婦」は、深い信頼関係によって成り立っていると言えます。
主役ママと裏方パパ
家庭運営はママが主役。パパは縁の下の力持ちで、育児参加で信頼関係もあり

家庭運営の主体も実行もママなので、一見ママだけに家庭の負担が偏っているように思えますが、ママ自身はこの役割に満足しているというところが大きな特徴です。その背景に、実際はパパも「保育園への送り」(40.9%)、「寝かしつけ」(25.7%)といった一部の育児に関与し縁の下の力持ちとして信頼関係が築けていることがあります。
ママ自身においては平日の夕方に料理する頻度が、他の分類に比べて低く、レトルト食品の利用率も高いという特徴があります。「母親は毎日料理を手作りするべき」という概念に囚われず、適度に便利なレトルト食品を取り入れながら上手に労力を省いています。
「休日は家族でアクティブに過ごしたい」という意識も75.3%と高く、家族で一緒に過ごす時間を大切にしていることも特徴です。
家族円満の背景には、ママの効率的な実行力と、パパの“縁の下の力持ち”サポートがあるようです。
献身ママのワンオペ夫婦
家庭運営はママ任せ。パパは家事も育児もママ任せで、ママは不満を抱える

ママに負担が偏っている、いわゆるワンオペママ家庭です。パパの育児参加も3分類の中で最も低く、パパに対する「子どもの親」としてのママの評価が低く、ママが不満を感じていることが特徴です。
「配偶者は頼れるパートナー」という意識も43.0%と低く、困っているときにも助けてもらえないと感じている様子です。
ママ自身については、平日夕方の料理頻度が82.3%と一番高く、休日でも炊事時間が97.2分と他の分類より20分以上長いこと、レトルト食品の週1以上利用率が20.0%と他の分類に比べて低いことから、家族のために食事は毎日手作りする意識が高いことが分かります。
また「自分の趣味や休息より子どもを優先」(83.5%)しており、それによるストレスも感じています。
家族のために献身的に尽くしているママに対して、家事育児はママ任せのパパという二人のスタンスのギャップが大きい夫婦です。
『ダブルス夫婦』が令和的スタイル
イマドキファミリー研究所では、以前より共働きパパの家事・育児実施率の高さに注目してきました。過去の研究では、夫婦間の意識にギャップがあり、実態はママに家事育児が偏りがちであったことが分かっています。
しかし、コロナ禍を経てパパの家事・育児参加率も増加傾向になり、その中でも従来は実施率が低めだった育児にもパパが積極的に参加する共働き夫婦が、比較的若い層に見受けられるようになりました。今回の3分類の「ダブルス夫婦」がこれにあたります。
令和4年4月より段階的に施行される育児・介護休業法の「産後パパ育休」によって男性の育児参加が促進されれば、『ダブルス夫婦』が今後ますます増加し、令和的共働きパパママの新定番スタイルになっていくのではないかと考えられます。
イマドキファミリー研究所 2021年度研究 令和的共働きパパママは、個人の時間も大切にする『ダブルス夫婦』

高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。