
10月11日から国内観光の需要喚起キャンペーンである「全国旅行支援」がスタートしました。開始早々に予定数完売となる予約サイトもあり、旅行を検討している人の間では注目度が高いであろう同キャンペーン、実際には、どのくらい認識されていて、どのように利用されているのでしょうか?
「全国旅行支援」認知率は65.6%、利用率は15.7%
開始から約3週間が経過したタイミングでの認知率は65.6%で、2020年に実施された「Go To トラベル」(認知率83.4%※)を2割程度下回っています。
ただし、認知者の内訳をみると、利用(予約含む)や利用意向(知っており、利用したい)は2つのキャンペーンに大きな差はなく、「全国旅行支援」では非利用意向(知っているが、利用したくない)は大幅に少なくなっています。
2年前と比べると、キャンペーンの認知は及ばないものの、旅行へのネガティブな意識も下がり、興味がある人が知って、利用するものになっているようです。

※「Go To トラベル」は、全国が対象となってから約5週間後にあたる2020年11月調査(実査期間:2020年11月7日~8日)の結果
キャンペーン利用者の約7割は、半年に1回以上の頻度で旅行をしている人
実際に「全国旅行支援」を利用しているのはどのような人なのか、普段の旅行頻度に着目して、結果をみてみました。
新型コロナウイルスの問題が出てくる以前と、直近1年間での旅行頻度を比較すると、「2,3ヶ月に1回以上」・「半年に1回程度」が減少、「1年に1回程度」は横ばい、「1年に1回未満」が増加しており、高頻度に旅行する人が少なくなっていることで、旅行需要は回復の途上にあると考えられます。

「全国旅行支援」利用者(予約含む)の内訳を、直近1年間の旅行頻度別にみると、「2,3ヶ月に1回以上」旅行する人が約4割、「半年に1回程度」が約3割、「1年に1回程度」が約2割、「1年に1回未満」が約1割、という結果でした。
利用の大半を、もともと旅行が好きで、キャンペーン実施の前から旅行をしていた人が占めている、という様子です。

キャンペーンが、癒しや非日常体験ニーズに応える新たな旅行需要を喚起
「全国旅行支援」利用者(予約含む)の旅行先は、「キャンペーンを知ってから興味をもったところ」と「1年以内に行こうと思っていたところ」が、いずれも多くなっています。一方、「コロナの影響で行けなくなったところ」という回答は比較的少なく、キャンペーンが、新たな旅行需要の喚起や、予定を行動に移す契機としての役割を果たしていると考えられます。

旅行先の特徴としては、「心や身体が癒されそうなところ」、「これまで行ったことがないところ」、「贅沢な気分を味わえそうなところ」が人気で、癒しや非日常体験への期待が高いようです。

コロナ第8波が警戒されてはいるものの、生活者のお出かけ意識は、すでにwithコロナといえる回復をみせています。一様に自らの行動を抑止するのではなく、リスクを低減させながらやりたいことを実現するフェーズに移行するなかで、今回の「全国旅行支援」が、キャンペーン利用だけにとどまらず、また次の旅行意欲の喚起につながっていくことを期待したいと思います。
<調査概要>
- 調査手法 : インターネット調査
- 調査対象 : 全国18~79歳の男女 1,200人に実施
- 調査期間 : 2022年11月5日~6日
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。