【今月のMOVE】お出かけもDXする時代? 外出時の情報探索実態&使用ツール

Move Design Lab VOL.82

未来の移動とそこにあるべきマーケティングコミュニケーションを構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」が毎月行う定点調査から、移動を切り口にしたオリジナルデータをご紹介します。
今回は、お出かけ時の情報探索実態・使用ツールを調べてみました。私たちは、「To Go ストック」など、これまでも、移動(お出かけ)に関するデジタル上での情報収集の実態などを調べてきましたが、お出かけ時に特化した情報探索の実態は、一般的にも詳細が明らかになっていないようです。生活者は、お出かけ時にいつ・どんな目的で・どんな情報を・どんなツールを使用して調べているのでしょうか?

“記録”するのはお出かけ後よりも、お出かけ前

まず、どんな情報探索をしているのか。「お出かけ前」「お出かけ中」「お出かけ後」の3つのタイミングにわけて聞いてみました(関連行動も含む)。(図1)

「お出かけ前」「お出かけ中」に『移動手段・時間を調べる』が多いのは当然といえば当然かと思いますが、どちらも約6割と最も高くなっていました。また、「お出かけ前」に『具体的に行きたい場所・お店・イベントを調べる』『行きたい場所・お店・イベントを思いがけず見つける』『行きたい場所・お店・イベントの営業時間・席数などの詳細を調べる』がそれぞれ約6割、「お出かけ中」に『行きたい場所・お店・イベントの詳細情報を調べる』が約5割と続いています。

なお、性年代別でみると、男女18~29歳、女性30代で、全体(18~79歳男女)よりもすべての行動で行動率が高くなっており、さまざまな情報探索行動をしていました。

「お出かけ中」の注目ポイントとしては、情報探索による行動の変化です。『寄り道するところを調べる』『チケットやツアー、店を予約する』が約4~5割となっており、お出かけ中の情報探索により、行動が変化していることがうかがえました。特に女性30代では、約7割が『寄り道するところを調べる』、約6割が『チケットやツアー、店を予約する』と、高くなっていました。

インスタ映えという言葉が定着していますが、全体でみると「お出かけ後」の『思い出や経験を自分の為に記録しておく』『思い出や経験をシェアする』は3割程度に留まりました。「お出かけ前」の『行きたい場所・お店をブックマークやメモで記録する』は約4割となっており、記録するのは「お出かけ後」よりも「お出かけ前」という結果でした。しかし、男女18~29歳では、『思い出や経験をシェアする』が約5割、女性18~29歳で『思い出や経験を自分の為に記録しておく』が約5割と、全体より「お出かけ後」の行動率が高くなっています。ただし、やはり「お出かけ前」の『行きたい場所・お店をブックマークやメモで記録する』のほうがやや高いという結果でした。

余談ですが、「時間学」の研究者によると、写真を撮るなど記録に残して後で思い出せるようにしておくと、「良い時間を過ごした」と思えるような満足度の高い時間の使い方になるそうです(参照『EKISUMER vol.48』)。今回の調査では3割程度に留まりましたが、みなさんの生活満足度向上のためにも、お出かけ後の記録行動の活性が求められるのではないでしょうか。その意味でも、撮りたくなるモノ・コトの提供が求められます。

テレビ番組はセレンディピティ

続いて、行動ごとの使用ツールをみてみました(表1)。「お出かけ前」「お出かけ中」のどの行動も〈検索サイト・アプリ〉がダントツで高くなっています。〈地図サイト・アプリ〉〈グルメサイト・アプリ〉も上位3位を占める項目が多くなっており、さまざまなシーンで使用されていました。

『行きたい場所・お店・イベントを思いがけず見つける』『いま流行っている場所・お店・イベントを調べる』ツールとしては〈テレビ番組〉が高い傾向です。他ツールと比べると、思いがけず行きたい場所や流行の場所を見つけるようなセレンディピティのメディアといえそうです。
なお、女性18~29歳では、上記のようなセレンディピティはダントツで〈Instagram〉でした。セレンディピティはオールドメディアが強いかと思いましたが、若い世代ではセレンディピティもDX化しているようです。

また〈地図サイト・アプリ〉は、『行きたい場所・お店をブックマークやメモで記録する』『寄り道するところを調べる』『思い出や経験を自分の為に記録しておく』で使用されており、過去の記事「To Go ストック」でご紹介したような使い方がなされていました。かくいう、私も、行きたい場所の記録は地図アプリで行っています。つい先日も、業務の外出中に地図を見ていたところ、行きたかったカフェスタンドが近いことを発見し、寄り道して紅茶をテイクアウトするという経験をしました。

お出かけ前・中は「ググる」がまだまだ主流

最後に、「お出かけ前」「お出かけ中」「お出かけ後」の3つのタイミングで、最も使うツールについてみてみました(表2)。「お出かけ前」「お出かけ中」と、やはり〈検索サイト・アプリ〉が高く、次いで〈地図サイト・アプリ〉という結果でした。

ただし、性年代で特徴があり、女性18~29歳は「お出かけ前」には〈検索サイト・アプリ〉と同程度に〈Instagram〉を使用しており、「お出かけ中」も約2割、「お出かけ後」では約7割が〈Instagram〉を使用していました。同じ18~29歳でも、男性は〈Instagram〉よりも〈検索サイト・アプリ〉を使用しており、こと、お出かけの情報探索でいうと、「若者はググらない」とは一概に言えないようです。

さて、「お出かけ後」は行動率自体が低いですが、その中でも〈Instagram〉、〈地図サイト・アプリ〉、〈Twitter〉が上位でした。一部ですが、使用理由(自由回答)が下記になります。

〈Instagram〉
「日記的な感覚」
「情報の一元管理」

〈地図サイト・アプリ〉
「立ち寄った場所の記録を確認するため」
「地理的に見られて良い」

〈Twitter〉
「出先で感じたことを何となく言葉にしたいから」
「単純に使い慣れているため、出かけた記録を投稿するのも精神的にやりやすい」
「速報性がある」

コスパ、タイパ(タイムパフォーマンス)といった効率化に関するワードをよく耳にしますが、情報爆発時代の今は認知負荷の低減も求められます。「情報の一元管理」や「使い慣れ」たものを使用するといったコメントに、それが表れているのではないでしょうか。
お出かけ情報探索にも、DXの波がきています。

<調査概要>

  • 調査手法 : インターネット調査
  • 調査対象 : 全国18~79歳の男女1,200サンプル(性年代別人口比に合わせてウェイトバック集計)
  • 調査期間 : 2022年9月3日~4日

上記ライター松本 阿礼
(駅消費研究センター研究員/お茶の水女子大学 非常勤講師/Move Design Lab・未来の商業施設ラボメンバー)の記事

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

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  • 五明 泉
    五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長

    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠
    中里 栄悠 Move Design Lab プロジェクトリーダー/シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子
    彦谷 牧子 Move Design Lab データアナリスト/ シニア ストラテジック プランナー

    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

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    市川 祥史 Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト

    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

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    鷹羽 優 Move Design Lab ブランドコンサルタント

    ブランド戦略を専門とし、菓子・飲料・生活雑貨・人材など多くのブランド開発、リブランディングを手掛けた後、2018年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。ブランドマネジメントの観点からコミュニケーション立案を行う。

  • 松本 阿礼
    松本 阿礼 駅消費研究センター研究員/お茶の水女子大学 非常勤講師/Move Design Lab・未来の商業施設ラボメンバー

    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事した後、2015年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。

  • 渡邉 裕哉
    渡邉 裕哉 Move Design Lab ストラテジック・プランナー

    2020年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。飲料、トイレタリー、ホテルなどのプランニングを担当する。

  • 明山 想
    明山 想 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。BtoB、トイレタリー、クレジットカード会社などのプランニングを担当。

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    片山 晴貴 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局配属。 家電、損害保険、不動産などのプランニングを担当する。