こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。
前回まで数回にわたってイマドキママたちの夕食や朝食の実態・工夫などについてリポートしてきました。調査を通じてママたちの“時短”への強いニーズが浮かび上がってきた一方で、食事の支度に関する意識は人によって実に多様であることもわかりました。そこで、今回はクラスター分析を行い、より細かくイマドキのママたちの特徴について考察してみました。
食事の支度に関する意識を元に分類した5つのママ・クラスター
クラスターを作成するにあたって、まずは食事の支度に関する意識・態度の回答から5つの因子を抽出しました。「料理を愉しむ」「簡便肯定」「家庭での栄養バランス重視」「食材重視」「見た目を気にする」の5因子に対する反応によってママたちを次の5つのクラスターに分類しました。

➀栄養バランス重視の手作り志向ママ
構成比:23.9% 共働きママ含有率:42.3%

時間的・経済的余裕があり、手間がかかっても栄養バランスのとれた食事作りを意識しています。お助け食品(冷凍食品やレトルト食品など)の利用率が低く、利用意向も低め。自身も幼少期から冷凍食品やレトルト食品の利用が低かったママたちです。
夕食への冷凍食品利用率(週1以上):6.4%
夕食メニューとしての丼もの登場率(週1以上):33.3%
➁枠に捉われない料理ポジティブママ
構成比:17.8% 共働き率:57.5%

共働きママの割合が高く、料理得意意識が最も高いクラスター。ただし、手作りへ志向へのこだわりは低く、お助け食品や総菜なども積極的に取り入れているのが特徴。従来型の「食事の支度はこうあるべき」というハードルが低く、ポジティブに料理を楽しめているママたちです。
夕食への冷凍食品利用率(週1以上):40.2%
夕食メニューとしての丼もの登場率(週1以上):56.9%
➂体裁は整え、簡便もありのママ
構成比:22.3% 共働き率:51.8%

共働きママ、専業主婦ママの構成比がほぼ同程度であり、世帯年収がやや低めのクラスター。このクラスターのママたちは料理に対して苦手意識があり、簡便化商品の利用に対してポジティブです。添加物などはあまり気にしませんが、最低限、買ってきた惣菜を皿には移し変えるという行動はとります。
夕食への冷凍食品利用率(週1以上):28.0%
夕食メニューとしての丼もの登場率(週1以上):42.7%
➃自分に厳しい頑張り屋さんママ
構成比:14.5% 共働き率:47.2%

専業主婦ママの構成比がやや高く、世帯年収は低めです。夫の帰宅時間が比較的遅く、食事の支度への関与度も低いのが特徴。ママ自身の食事の原体験も乏しく、料理の苦手意識が強いですが、「簡便」「レトルト」といったワードにはやや抵抗を示し、冷凍食品の利用率も高くありません。
夕食への冷凍食品利用率(週1以上):23.2%
夕食メニューとしての丼もの登場率(週1以上):40.8%
➄現実的なメリハリ型ママ
構成比:21.5% 共働き率:52.4%

共働きママの構成比がやや高く、世帯年収は概ね平均値です。時間的な余裕がないせいか、平日の夕食負担感が非常に高いクラスター。そのため簡便なものにも寛容ですが、素材の産地や添加物など、食材にはこだわりを見せる傾向もあります。
夕食への冷凍食品利用率(週1以上):27.6%
夕食メニューとしての丼もの登場率(週1以上):35.2%
チャートと写真で一目瞭然!クラスター別、ママたちの夕食の食卓
次に、各クラスターのママたちが、実際にどのような夕食を用意しているのか、以下のチャートと写真をご覧ください。

「栄養バランス重視の手作り志向ママ」は、品数が多いのが特徴。またテーブルウェアをコーディネートするなど、食卓を彩ることも重視している様子が見られます。
「枠に捉われない料理ポジティブママ」は、テイクアウトを活用したり、メインのおかず1品をドーンと出したりするパターンが多く、これまでの料理の固定概念に捉われない食卓が印象的です。
「体裁は整え、簡便もありのママ」は、全体的に食卓に色味が少なく、総菜やおかずの素を活用した単品系メニューが多いようです。
「自分に厳しい頑張り屋さんママ」は、一品は手作りのものを用意するようにしている様子が見受けられましたが、カレーなどは単品メニューとして登場しています。
「現実的なメリハリ型ママ」は、冷凍食品や総菜も活用しながら、副菜やフルーツなどで全体的にバランスのとれた食卓になるよう工夫している様子が伝わってきます。
今回のクラスター分析での各クラスターの構成比を見ると、特に大きな偏りがなく、どのクラスターにも一定のボリュームがありました。このことは裏を返せば、“家族の食事はこうであるべき”という固定的な考えが薄まってきている、ということが言えるのではないでしょうか。
また、「手作り志向」ママは意外と少なく、これまで「手抜き」「楽をしている」と捉えられがちだった“お助け食品”や総菜の活用は、今や多くのママたちの間で“当たり前のこと”として、積極的に活用されている様子が伺えました。
とはいえ、ママの夕食作りの負担感はまだまだ大きいのが現状です。“お助け食品”の活用もさることながら、パパの夕食作りへの参加率向上や、家事自体の在り方の見直しなど、これからも家族の食卓事情はまだまだ変化を続けていきそうです。
今回の調査結果は、オレンジページ「次のくらしデザイン部」と、『イマドキ家族の食事に関する共同研究』からリポートしました。共同研究の概要についてはVOL.11の記事に詳しく掲載しているので、そちらもぜひお読みください。
- 調査概要
- 2018年度 『イマドキ家族の食事に関する共同研究』
- 夕食の実態と支度に関する調査
- 調査地域:
- 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
(東京駅を中心とする40km圏) - 調査方法:
- インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
- 調査対象:
- 満1歳〜小学校4年生以下の長子がいる25~49歳の既婚女性 978ss
夫婦と子どものみの同居世帯である人。
(女性側の勤務形態と子供の年齢で割付) - 調査日:
- 2018年6月8日(金)〜14日(木)
高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/シニア ストラテジック プランナー
調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。