若年層で広がる、移動中の2次元コンテンツ
~移動中のアニメ・マンガ・ゲーム体験の実態~

Move Design Lab VOL.91

クールジャパンの代表格であり、世界へ拡大するアニメ・マンガ・ゲーム。おうち時間のオトモとして楽しんだ人も多いのではないでしょうか。今月はそんなアニメ・マンガ・ゲームについて、移動の切り口から迫ります。

公共交通機関(電車・バスなど)での移動中のスマホの使い方、
20代以下の約3割は「アニメ・マンガ・ゲーム」

全国の18~79歳の男女に、電車やバスなどの公共交通機関利用中のスマホの使い方について聞いてみたところ、アニメ・マンガ・ゲームを楽しんでいる人は全体で11.5%でした。最も多かった年代は20代以下となっており、約3割という結果になりました。

続いて、アニメ・マンガ・ゲームをそれぞれ個別で見た結果が下記の図です。

アニメ・マンガ・ゲームいずれも20代以下が最も高い実施率となっており、マンガ・ゲームは全体の約2.6倍、アニメは全体の約4.7倍と、いずれも突出して高い実施率であることがわかります。自由回答では「移動時間でキリよくアニメが視聴できる」「(マンガは)短時間でも1話を読み終えられ、時間の融通が効く」「移動中にゲームのログインボーナスやデイリークエストを済ませられる」といった声があり、移動中におけるアニメ・マンガ・ゲームはタイムパフォーマンスが高く、20代以下の若年層にとって移動のオトモとして重宝されていることがわかります。

20代以下で特徴的な「現実逃避・癒やし」の効果

突出して実施率が高かった20代以下の年代にとって移動中のアニメ・マンガ・ゲーム体験はどのような位置づけになっているのでしょうか。移動中にアニメ・マンガ・ゲームを楽しむ人に対して、移動中にアニメを視聴・マンガを読む・ゲームをプレイすることでどんな効果があると感じるか、について聴取した結果がこちらです。

20代以下で最も高いスコアとなったのは、81.6%で「暇をつぶせる」でした。全体で見ても最多スコアとなっており、全世代共通の傾向と言えそうです。
一方、同率で2番目に高かった「嫌なことを考えなくて済む」は、全体から14.6ポイント高い42.9%となっており、20代以下において特徴的な傾向と考えられます。該当者の自由回答を見てみると、「現実逃避したくて、異世界転生のマンガを読む」「ゲーム中は無になって夢中になれる」といった声がありました。また、「癒やされる」のスコアも20代以下では全体より11.9ポイント高い28.6%となっており、こちらも特徴的な結果となりました。
20代以下の若年層において、移動中にアニメ・マンガ・ゲームを体験することは、単に暇をつぶす以外にも、気分を整える・切り替えることにも一役買う、そんな位置づけにあるのかもしれません。

20代以下の3人に1人以上は、
屋外広告でアニメ・マンガ・ゲームの流行をキャッチ

最後に、移動中にアニメ・マンガ・ゲームを楽しむ人に対して「アニメ・マンガ・ゲームに関する屋外広告(ポスター・看板など)」について聞いてみました。

全体と比べ、20代以下では全ての項目で上回っており、相対的に屋外広告に敏感に反応する年代であると言えそうです。そんな20代以下で最も高かったのは「流行っていると感じたアニメ・マンガ・ゲームがある」で、全体より15ポイント高い36.7%となっていました。続いて「はじめて知ったアニメ・マンガ・ゲームがある」も11.7ポイント高くなっていました。移動空間ではアニメ・マンガ・ゲームを楽しむだけではなく、一定数にとっては新しい作品・コンテンツとの出合いの機会となっているようです。

また近年、推しのキャラクターやアイドルが掲載されているポスター・看板の撮影のためにファンが移動する、自分の推しを応援するために屋外広告を活用するなどの動きもあるように、移動空間・屋外広告と作品・コンテンツとの関係は、より密接になってきているのかもしれません。引き続き、移動とコンテンツとの関係に注目していければと思います。

<調査概要>

  • 調査手法 : インターネット調査
  • 調査対象 : 全国18~79歳の男女 1,200人に実施
  • 調査期間 : 2023年1月7日~8日

上記ライター片山 晴貴
(Move Design Lab コミュニケーションプランナー)の記事

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

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  • 五明 泉
    五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長

    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠
    中里 栄悠 Move Design Lab プロジェクトリーダー/シニア ストラテジック プランナー/TRAIN TV ブランドマネージャー

    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子
    彦谷 牧子 Move Design Lab データアナリスト/ シニア ストラテジック プランナー

    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

  • 市川 祥史
    市川 祥史 Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト

    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

  • 鷹羽 優
    鷹羽 優 Move Design Lab ブランドコンサルタント

    ブランド戦略を専門とし、菓子・飲料・生活雑貨・人材など多くのブランド開発、リブランディングを手掛けた後、2018年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。ブランドマネジメントの観点からコミュニケーション立案を行う。

  • 松本 阿礼
    松本 阿礼 駅消費研究センター研究員/お茶の水女子大学 非常勤講師/Move Design Lab・未来の商業施設ラボメンバー

    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事。2012年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。

  • 渡邉 裕哉
    渡邉 裕哉 Move Design Lab ストラテジック・プランナー

    2020年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。飲料、トイレタリー、ホテルなどのプランニングを担当する。

  • 明山 想
    明山 想 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。BtoB、トイレタリー、クレジットカード会社などのプランニングを担当。

  • 片山 晴貴
    片山 晴貴 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局配属。 家電、損害保険、不動産などのプランニングを担当する。