【今月のMOVE】
4人に1人がお出かけリベンジを果たす
-2022年ゴールデンウィークの移動実態-

Move Design Lab VOL.74

未来の移動とそこにあるべきマーケティングコミュニケーションを構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」が毎月行う定点調査から移動の切り口でのオリジナルデータをご紹介します。
今回は、最大10連休と話題になったゴールデンウィークの移動実態に迫ります。

10連休以上できた人は15%

新型コロナウイルス感染拡大以降3度目のゴールデンウィーク(以下、GW)、皆さんはどのように過ごしましたか?今年は3連休が2回あり、間の平日を休むと最大10連休になると話題でしたが、実際どのくらいお休みできたでしょうか。

フルタイムで働く人に聞いたところ、平均で最長連休数4.32日、休日数は6.52日でした。最長連休数で最も多かった回答は3日、休日総数では8日が最も多く、間の平日である5/2・5/6は休まずにカレンダー通りの休みを取っていた方が多かったことがわかります。
話題になっていた10連休ですが、実際に取得できた人は10.8%、11・12連休の人も含めると15%にとどまる結果となりました。長ければ長いほど良いように思える連休ですが、連休の長さとGWの満足度はどのような関係があるのでしょうか。

こちらのグラフはGW満足度を100点満点で採点してもらい、最大連休日数別の平均点を比べたものです。最長連休日数が長くなるほど満足度は高まる傾向が見て取れますが、6~9連休と10連休以上の満足度はほぼ同じという結果になりました。10連休以上休んだ人に満足度の採点理由を聞いてみると「後半やることがなかった」といった声もあり、長い連休を持て余してしまった人もいるようです。

4人に1人が今年のGWでリベンジ果たす

今年は、新型コロナウイルス感染拡大以降で、初めて緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった行動制限が発令されていないGWとなりましたが、お出かけ意識はどのように変化したのでしょうか。
働いている人で3連休以上を取得できた人に対し、昨年と今年のGWそれぞれについて、積極的にお出かけしたか、もしくはお出かけは我慢・控えめだったかを選択してもらい、4グループに分類したところ、次のような結果となりました。

最も多かったのは、昨年も今年もお出かけは我慢・控え目だった「おこもり継続層」で62.5%となっており、行動制限の発令の有無に関わらずお出かけは控え目な人が多かったことがわかります。反対に、昨年も今年も積極的にお出かけした「アクティブ継続層」は8.5%と1割以下にとどまりました。最も少なかったのは、昨年は積極的にお出かけしたが今年のお出かけは我慢・控えめだった「今年は自粛層」で4.6%となっていました。また、昨年のお出かけは控え目だったが今年こそはと積極にお出かけした「今年はリベンジ層」は24.3%となっており、約4人に1人の割合で移動が活発になっていたことがわかりました。

続いて、こちらのグラフは4グループそれぞれの性年代別で内訳を示したものです。

今年になって移動が活発になった「今年はリベンジ層」では、女性30~40代が多くなっていました。「アクティブ継続層」と「今年は自粛層」では、どちらも男性U29と男性40代が多く、昨年から今年にかけてアクティブに動き回る人と今年は控えめになる人に二分されたと推察されます。一方、「おこもり継続層」は男女40~60代にやや偏りがあるものの、比較的バランスよく全ての性年代が含まれており、性年代に関わらずおこもり派な人が多いことがわかります。

今年リベンジした人は「家族」「エンタメ」のためのお出かけ多数

ではリベンジした人たちは、今年のGWをどのように過ごしたのでしょうか。
GW期間中のお出かけ先について聴取し、全体と比べて今年はリベンジ層でスコアが高まっていたスポットTOP15をグラフにまとめました。

トップは宿泊を伴う旅行となっており、今まで行けなかった旅行を解禁した方が一定数いたことがわかります。一方で、散歩や居酒屋などの比較的近場でも可能な過ごし方も上位にランクインしていました。
またグラフ内で赤く強調している、「アクティブ継続層」とも差が開いていたお出かけ先は、「帰省・実家に帰る」「母の日に関すること」といった家族に関わるお出かけや、「動物園・水族館・植物園」「映画鑑賞」「遊園地・テーマパーク」「アート鑑賞」などエンタメ・娯楽を求める移動がランクインしていました。
自由回答では「久しぶりに孫に会えた」「自粛の呼びかけがなくなり、開いているお店やスポットが増えて楽しめた」といった声があり、これまでは我慢せざるを得なかったことも今年は満喫できた様子が伺えます。

今年リベンジした人のGW満足度は昨年の約1.5倍に

最後に、100点満点でGW満足度を採点してもらい、昨年からの変化をまとめたグラフをご紹介します。
全体のスコアを見てみると、今年のGW満足度は平均57.1点とまずまずの点数でしたが、昨年の117.4%と、全体的に満足度が上昇していることがわかりました。今年はリベンジ層では今年のGW満足度は70.4点と非常に高得点になっており、昨年の148.5%と大きく上昇していることからも、しっかりとリベンジを果たせたことが伺えます。

新型コロナウイルス感染拡大以降、今年は初めて行動制限のないGWとなり、移動や消費の回復の兆しも見て取れました。徐々に生活が日常に戻りつつある反面、まだまだリバウンドも懸念されます。日々状況が変化する世の中ではありますが、引き続き移動の視点で注視していきたいと思います。

上記ライター片山 晴貴
(Move Design Lab コミュニケーションプランナー)の記事

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

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  • 五明 泉
    五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長

    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠
    中里 栄悠 Move Design Lab プロジェクトリーダー/シニア ストラテジック プランナー/TRAIN TV ブランドマネージャー

    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子
    彦谷 牧子 Move Design Lab データアナリスト/ シニア ストラテジック プランナー

    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

  • 市川 祥史
    市川 祥史 Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト

    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

  • 鷹羽 優
    鷹羽 優 Move Design Lab ブランドコンサルタント

    ブランド戦略を専門とし、菓子・飲料・生活雑貨・人材など多くのブランド開発、リブランディングを手掛けた後、2018年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。ブランドマネジメントの観点からコミュニケーション立案を行う。

  • 松本 阿礼
    松本 阿礼 駅消費研究センター研究員/お茶の水女子大学 非常勤講師/Move Design Lab・未来の商業施設ラボメンバー

    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事。2012年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。

  • 渡邉 裕哉
    渡邉 裕哉 Move Design Lab ストラテジック・プランナー

    2020年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。飲料、トイレタリー、ホテルなどのプランニングを担当する。

  • 明山 想
    明山 想 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。BtoB、トイレタリー、クレジットカード会社などのプランニングを担当。

  • 片山 晴貴
    片山 晴貴 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局配属。 家電、損害保険、不動産などのプランニングを担当する。