<子供とのお出かけ>家族の時間と今しかできない体験がカギ

イマファミ通信 VOL.44

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
行動制限がないとはいえ、新型コロナウイルスが猛威を振るう夏休みも終わりました。久しぶりの帰省や旅行をした方、近場にお出かけした方、外出自粛した方など、お出かけに関してはさまざまな判断があったと思います。
今回のイマファミ通信では、2019年度に実施した“共働き家族のお出かけ調査”から、子供とのお出かけの価値について、ご紹介いたします。コロナ禍前の調査ではありますが、コロナ禍だからこそより享受できるお出かけの価値がそこにはありました。

共働きママは子供と一緒にアウトドア体験をしたい

グラフAは、長子が中学生以下のママの「今後、子供と一緒に行きたいところ・体験したいこと」を見たものです。共働きママ・専業主婦ママともに、「テーマパークや施設(映画館等含む)を訪れる」が7割を超えてトップとなりました。身近で気軽にお出かけできることが魅力だと推察できます。   
また、共働きママと専業主婦ママで差が大きかったのは、「キャンプ、バーベキュー、昆虫採集、川遊び」「登山、ハイキング」といったアウトドア体験で、共働きママの方が専業主婦ママより高い結果となりました。反対に、専業主婦ママが共働きママより高かったのは「イベント、お祭り」でした。

子供の年齢によって変化するお出かけ

グラフBは、グラフAの共働きママに絞り、長子の年齢別に「今後、子供と一緒に行きたいところ・体験したいこと」を見たものになります。最もお出かけ意向の高かった「テーマパークや施設(映画館等含む)を訪れる」は乳幼児・未就学児の子供を持つママで特に高い結果となりました。先ほどのグラフAで、専業主婦ママと比べて特に共働きママで高い傾向だった「キャンプ、バーベキュー、昆虫採集、川遊び」は未就学児や小学校低学年の子供を持つママで高く、子供の活動が活発になるのに合わせてアウトドアのお出かけ意欲も高まる傾向にあるようです。
「温泉」「旅先でのグルメ」「ショッピング」は乳幼児ママで高く、その後小学生ママになると低くなりますが、中学生ママになるとまた高くなる傾向が見受けられます。お出かけの目的が子供の年齢に合わせて徐々に変化しており、子供が乳幼児のうちは大人主体で、子供が小学生になると子供主体で、そして中学生まで大きくなるとまた大人と同じ目線で子供も楽しめる、というように変化しているように見えます。子供の成長に合わせて、今しかできないこと、今だからこそ楽しめることを共働きママたちは模索しているのではないでしょうか。

子供の成長に合わせた“今ここでしかできない体験”に価値

次に、ママたちの「“ふだんの休日のお出かけ”で叶えたいこと・理想」(グラフC)を見てみたいと思います。こちらは、ふだんの休日のお出かけ(長期休暇ではなく、土日や祝日など)で叶えたいこと・理想を聞いたものです。共働きママも専業主婦ママも共通して、「子供が楽しむこと」を一番のお出かけの理想と考えていました。一方で、「子供が楽しむこと」は専業主婦ママで6.4pt高く、「自分が楽しむこと」「自分が休めること」は僅差ではありますが共働きママで高い結果となりました。共働きママにとって休日は、子供の休日だけでなく、ふだん仕事をしている自分の休日として、自身も楽しみたい・休みたいという意向があるようです。
また、「その土地ならではの良さを感じること」「家族で同じ時間を共有すること」「四季を楽しむこと・自然に触れること」といったことでも、共働きママの方がお出かけの価値として重要視していることがわかります。グラフA・Bで見た通り、共働きママは子供の年齢に合わせて、アウトドアレジャーへの意向が高くなっていましたが、その背景には「家族で同じ時間を共有」し、「今ここでしか体験できないコトやモノに触れること」を大切にしていることがうかがえます。

コロナ禍で、お出かけ先も感染防止を念頭に選定するようになった家族も多いと思います。昨今、キャンプなどのアウトドアレジャーもコロナ禍で需要が大きく伸びているとも言われています。コロナ禍前とお出かけ先の実態は大きく変化していると考えられますが、“子供の成長に合わせて、今しか体験できないコトやモノに触れ、子供が楽しみ、自分も楽しむ”といった、共働きママにとっての子供とのお出かけの価値観は、根底はさほど大きな変化はないのではないでしょうか。
これからのファミリーのお出かけは、子供の年齢で細分化したターゲティングと、成長に合わせた体験価値の規定、そこにコロナ禍における感染対策をどう組み合わせて提案するのか、が重要になってきそうです。

<調査概要>2019年度 『共働き家族のお出かけ調査』

  • 調査地域 : 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 中学生以下の長子がいる25~59歳の既婚男女 計1000ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外。
         (女性側の勤務形態と子供の年齢で割付)
  • 調査期間 : 2019年7月5日(金)〜8日(月)

上記ライター澤 裕貴子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

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    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。