子供の受験、どうする?
イマドキの受験事情と親ゴコロ

イマファミ通信 VOL.49

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
まもなく夏休みを迎えます。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、今年の夏は久しぶりに家族で旅行、という人も少なくないと思いますが、そんな中、夏が勝負!と言われるのが、「受験」です。特に中学受験は、近年受験者数が増加傾向にあり、競争が激化しています。今回のイマファミ通信では、2020年度に実施した「イマドキ家族の子供への意識実態調査」から首都圏に住む長子が小学6年生以下のファミリーの受験傾向についてご紹介いたします。

共働きママは長子の受験に前向き

図表Aは、長子の受験意向・経験についてのママの意向を、共働きママ・専業主婦ママ別で比較したものです。「受験の予定・経験あり・計」は専業主婦ママでは16.0%なのに対し、共働きママでは35.0%と2倍以上になっており、共働きママの方がより受験に積極的なことがうかがえます。最も受験率が高いのは「私立中学」受験で、共働きママでは20.5%が「私立中学を受験するつもりである・受験した」と回答しています。

親の受験経験が子供の受験に影響を与える

次に、図表Bは、同じく長子の受験意向・経験についてのママの意向を、ママの中学受験経験の有無別で比較したものになります。これを見ると、ママ自身が中学受験を経験している方が、子供の受験に対する親の意向が高い傾向にあることがわかります。特に、ママ自身が中学受験経験がある場合の、長子に対する受験意向は「私立中学」で27.3%、「公立の中高一貫校」で18.8%となり、中学受験経験のないママに比べて10%以上も高くなっています。また、小学校受験に関しても、私立・国立ともに中学受験経験があるママの方が高くなっており、それぞれ約1割が「受験意向・経験あり」となりました。ママ自身の実体験から、子供にも同じような教育環境を与えたい、という意識が強く、それだけママ自身が満足できる教育環境だった、とも捉えることができます。

学力だけではない教育意識

では、ママたちはどんな教育意識を持っているのでしょうか。下記の図表Cは、「言語・記憶・論理・推理・空間把握などの知能(=認知能力)」と、「忍耐力・好奇心・創造性・失敗から立ち直る力(=非認知能力)」について、子供にどちらを伸ばしてほしいか、子供の受験に対するママの意向有無別に聞いたものになります。
これを見ると、小学校受験・中学受験ともに意向・経験がある層とない層で比べると、子供に伸ばしてほしい能力に大きな違いがあることがわかります。子供の受験に対するママの意向・経験がある層は「A:言語・記憶・論理・推理・空間把握などの知能」を重視、子供の受験に対するママの意向・経験がない層は「B:忍耐力・好奇心・創造性・失敗から立ち直る力」を重視した教育意識であることがわかります。いずれの層も【Aに近い/Bに近い】ではなく、【ややAに近い/ややBに近い】が大半を占めるので、どちらも大事という意識を持っているものの、小学校・中学受験の検討の背景に、このような教育意識の違いもあるようです。

少子化が進む中、大学入試の共通テストの変更や、社会に出た時に求められるスキルの多様化など、子供たちの教育環境もめまぐるしく変化しています。子供の将来を案じ、親の教育に対する関心は今後も高まるものと思われます。 

共働きママにおいては、子供の受験に対する意向・経験が高いことがわかりました。一方で、時間的・精神的に十分な余裕を持つことが難しく、子供の教育に費やす時間と、日々の家庭生活や仕事に費やす時間に追われる毎日になっていることも、容易に想像できます。今後の教育サポートに求められるのは、子供の学力・能力UPだけでなく、子供に伴走する親の負担や精神的な不安をいかに軽減できるか、なのかもしれません。

<調査概要>「イマドキ家族の子供への意識実態調査」

  • 調査地域 : 首都40km圏(東京を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 長子が小学校6年生以下の25~49歳の既婚男性・女性 計1,591サンプル
         夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢で割付)
  • 調査期間 : 2021年2月10日(水)~2021年2月18日(木)

上記ライター澤 裕貴子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。