【今月のMOVE】移動が推し活を豊かにする-「推しMOVE」の実態について-

Move Design Lab VOL.72

未来の移動とそこにあるべきマーケティングコミュニケーションを構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」が毎月行う定点調査から移動の切り口でのオリジナルデータをご紹介します。
今回は、近年盛り上がりを見せる「推し活」に、移動という切り口から迫ります。

推し活経験率は約2割

2021年の新語・流行語大賞にノミネートされた「推し活」は、昨今あらゆる場面で使用される言葉になりました。
「推(お)し」とは、言葉の通り「推しているモノ・コト」の意味であり、その対象はアイドル・アーティストといった実在する人物から、漫画・アニメのキャラクターといった実在しない人、建築物・鉄道という人物以外にも及びます。
その上で自分が好きなモノ・ヒトを応援する活動を「推し活」と呼んでいます。

かく言う私にも「推し」がいます。
一例として、キャラクター(ちいかわ)、スポーツチーム(阪神タイガース)、アーティスト(MOROHA)があげられます。SNSでの情報収集はもちろん、YouTubeで動画を見たり、ポップアップストアに行ってグッズを購入したり、試合・ライブに行ったりと、常に「推し」につながっていると言っても過言ではない状況です。

今回、推し活を「自分が好きなモノ・ヒトを応援する活動」と定義し、全国の18~79歳に推し活をしたことがあるか尋ねてみたところ、経験率は18.9%とおよそ2割が推し活経験ありという結果になりました。

年代別でみると、最も高かったのは18~29歳で47.6%。次いで30代では24.2%で、40代以上はそれぞれ1割程度。若年世代の推し活経験率の高さが際立つ結果となりました。純粋に今回の定義で考えるなら上の世代ももっと高くてもいいのでは?と感じられる方もいるかも知れません。これは上の世代の方が「推し活」という言葉にぴんときていない可能性が少なからずあるように思います。いずれにしても「推し活」をめぐって、若年世代と上の世代で大きな乖離がみられます。

若年層の約4割は「アイドル推し」

上の図は、推し活経験者の「推している対象」を若年層(18~29歳)とそれ以上(30代以上)で比較したものになります。若年層で最も高かったのは「アイドル/アイドルグループ」で43.8%。上の層の22.4%の2倍近いスコアになっていました。

若年層の「アイドル推し」が高い理由として、アイドルグループがデビューするまでの過程を描いたオーディション番組が近年流行したことが要因の一つではないか、と私は考えています。先輩に聞いてみたところ、そうした番組は昔もあったそうですが、昔と大きく異なるのはインターネットの存在。ファンがSNS発信やWEB投票など、ネットを通して推しを支援しやすくなったことで、「自分の行動によって、推しを支えたい」という心情が生まれやすくなっているのではないか、と推察しています。

約7割が行う「推しMOVE」。推しにMOVEは欠かせない

こちらは若年層(18~29歳)推し活経験者の推し活に関する行動の実施率をグラフにしたものです。
具体的な推し活の内容を聴取したところ、多くの部分が移動を伴う推し活、言わば「推しMOVE」であることがわかりました。最も高かったのは、「映像を鑑賞する」で55.0%。一方で、「ライブ・舞台・コンサート・試合等への参加」は52.5%と同程度で高い水準になっています。推しMOVEの経験率は合算して約7割と、推し活において移動が欠かせない要素の一つになっていると言えます。「推し活」ときいて、インドアなものと思い浮かべられる方もいらっしゃるかと思いますが、実態は非常にアクティブなものであると言えます。

推し活経験者に対して、印象に残っている推しMOVEを自由回答で聴取したところ、「推しが出る舞台を見に行って、そのついでに推しが出ている映画やドラマのロケ地巡りをしたこと。」(20代女性)という回答がありました。「舞台を見に行く」ための移動から、さらなる移動につながっていることがわかります。

そうした推しMOVEは、対象となる推しを経済的に支えることはもちろん、交通費や飲食費などさまざまな出費を伴うことになるため、地域の活性化にもつながっていきます。

約2年間、新型コロナウイルスの影響によってリアルイベントやそれに伴う移動に制限を強いられてきましたが、3月21日にまん延防止等重点措置が全面解除され、リアルイベントの開催制限も緩和されました。徐々に移動が活発化していく中で、まず回復していくのは、推しMOVEのような熱量の高い移動ではないかと推察しています。

これまでお出かけを自粛していた方も推しMOVEから始めてみてはいかがでしょうか。

<調査概要>

  • 調査手法 : インターネット調査
  • 調査対象 : 全国18~79歳の男女 1,200人
  • 調査期間 : 2022年4月2日~3日

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

>記事一覧はこちら

>記事一覧はこちら

  • 五明 泉
    五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長

    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠
    中里 栄悠 Move Design Lab プロジェクトリーダー/シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子
    彦谷 牧子 Move Design Lab データアナリスト/ シニア ストラテジック プランナー

    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

  • 市川 祥史
    市川 祥史 Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト

    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

  • 鷹羽 優
    鷹羽 優 Move Design Lab ブランドコンサルタント

    ブランド戦略を専門とし、菓子・飲料・生活雑貨・人材など多くのブランド開発、リブランディングを手掛けた後、2018年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。ブランドマネジメントの観点からコミュニケーション立案を行う。

  • 松本 阿礼
    松本 阿礼 駅消費研究センター研究員/Move Design Lab・未来の商業施設ラボ メンバー

    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事した後、2015年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。

  • 渡邉 裕哉
    渡邉 裕哉 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2020年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。飲料、トイレタリー、ホテルなどのプランニングを担当する。

  • 明山 想
    明山 想 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。BtoB、トイレタリー、クレジットカード会社などのプランニングを担当。

  • 片山 晴貴
    片山 晴貴 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局配属。 家電、損害保険、不動産などのプランニングを担当する。