コロナ禍におけるママのギフト事情。
脱“義理”で真心重視。

イマファミ通信 VOL.34

Vol.25Vol.28のイマファミ通信では、ママの心が満たされる消費=充足消費についてご紹介しました。その中で、ママの心が満たされる消費には「家族が喜んでくれる姿」も大切な要素となっていることが明らかになりました。さらにコロナ禍によって、家族単位での行動が増加し絆意識の高まりが見られる中、家族の笑顔や喜びがママ自身の充足感にもつながる傾向が強まっていると考えられます。
そこで、今回のイマファミ通信では、まずコロナ禍以前の2019年のママから家族へのギフト事情についてご紹介し、そしてコロナ禍によって「ギフト」への意識や買い物の仕方がどのように変化したのか、ママたちのリアルな声をご紹介したいと思います。

ママから家族へのギフト事情①
ギフト率・平均金額ともに「父より母」へが高め

2019年の母の日に自身の母へギフトを贈った率は共働きママで61.1%、専業主婦ママで58.5%といずれも約6割程度でした。その平均金額は、共働きママが約5,900円、専業主婦ママが約4,300円と、共働きママの平均金額が専業主婦ママより1,500円以上高い結果となりました。また、夫の母へギフトを贈った率は共働きママで49.5%、専業主婦ママで45.9%と5割を切り、自身の母へのギフト率と比べ10ポイント以上も下回りました。また平均金額については、共働きママが自身の母へのギフトに比べて少ないのに対し、専業主婦ママは僅かながら自身の母へのギフトよりも高くなっており、両者の傾向に違いがありました。(図表A)

父の日に関しては、ママたちが自身の夫へギフトを贈った率は、共働きママ・専業主婦ママ共に3割未満となっており、ママが父の日にギフトを贈る対象は夫ではなく、自身の父や夫の父が中心であることが分かりました。自身の父・夫の父へのギフト率は、いずれも共働きママより専業主婦ママの方がやや高い一方、自身の父へのギフト平均金額は、専業主婦ママより共働きママの方が高い結果となりました。 (図表B)
なお、全体的に母の日のギフト率・平均金額と比べると、いずれもやや低い結果となりました。

ママから家族へのギフト事情②
ギフト率が高いのは子供へ、平均金額が高いのは夫へ

クリスマスについては、共働きママで子供へが76.2%(平均金額 約7,500円)、夫へが34.5%(平均金額 約10,800円)、そして専業主婦ママで子供へが81.4%(平均金額約6,700円)、夫へが20.0%(平均金額約7,200円)となりました。母の日や父の日と比べると、子供へのクリスマスギフト率は最も高い結果となりました。一方、夫へのギフト率は低いものの、平均金額は親や子供へよりも高くなっています。
また、共働きママは専業主婦ママと比較すると、子供へも夫へもギフトの平均金額が高く、特に夫へのギフトの平均金額が、専業主婦ママより3,000円以上も高い結果となりました。(図表C)

コロナで変わったギフト事情
ママたちの生声から

突如として生活スタイルを変えざるを得なかったコロナ禍。感染流行がはじまって1年以上が経過し、ギフト事情にはどのような変化があったのでしょうか。変化があったという方々にインタビューしました。

「インターネットで買うことが多くなった」(30代・共働きママ)、「平日、混雑していない時間帯にショッピングセンターやデパートへ行くように意識している」(40代・専業主婦ママ)という「密を避ける買い物行動」の声が目立ちました。ECについては「特定のポイントアップ期間」や「セール期間」、「ポイントを貯める」など、少しでも得するような買い物の仕方をしたいという“お得思考”の声も目立ちました。

また、コロナ禍による収入減少で節約志向にもあり、「会わない人にはわざわざギフトを贈らない」(30代・共働きママ)という声も目立ち、「本当に付き合いが必要な人にだけ」「家族にだけ」「ごく親しい人にだけ」というように、最小範囲での深いお付き合いを大切にしていきたいという声が多くあがりました。ただし一方で、「会えないからこそ心を大切にしたい」という声もあるように、本当に親しい人にはギフトを贈りたいと考える人も多く、これまでのような「習慣だから贈る」のではなく、より「真心を込めて贈りたい」と考えている様子が感じられました。

withコロナの生活が続いている現在では、人と人の絆、家族のつながりを再確認したり、共に喜び合える体験を重視する傾向にあると思います。その中での「ギフト習慣」は、これまでよりもさらに心を込められるものや、絆を感じられるようなものが求められていくのではないでしょうか。家族の喜ぶ姿や笑顔がイメージしやすいことが、ママたちにとって消費のトリガーになる可能性も大きいと言えるでしょう。

コロナ禍によって様々な変化があった2020年、そしてまもなくコロナ禍になって2度目の母の日・父の日がやってきます。上記のような声も聞かれる中で、今年はどのような変化があるでしょうか。イマファミ研では、引き続きママたちのギフトへの意識や買い物行動についてキャッチアップしていきたいと思います。

調査概要:2019年度 ママの買い物調査

  • 調査地域 : 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
         ※アンケートに加え、実際の「充足消費」の写真も、モニター自身でアップロードしてもらい回収
  • 調査対象 : 長子小学生以下の25〜49歳の既婚女性 計1293ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態と子供の学齢で割付)
         充足消費の集計方法 : 1サンプルあたり最大3点まで回答があるため「充足消費」1点につき
         1レコードとしたレコード集計を実施
  • 調査期間 : 2019年6月28日(金)〜7月8日(月)

上記ライター荒井 麗子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

>記事一覧はこちら

>記事一覧はこちら

  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

  • 澤 裕貴子
    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

  • 河野 麻紀
    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。