コロナ禍によって、ママたちの意識・行動はどう変化した?②

イマファミ通信 VOL.30

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
当研究所では2020年度の調査研究第一弾として「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」に関する調査を行いました。前回Vol.29の「イマファミ通信」では、コロナ禍によってママたちの生活にどのような変化があったのかをレポートしました。今回も、前回に引き続きママたちの変化を探っていきながら、共働きママのニューノーマルについて考えていきたいと思います。
※今回の調査は首都40km圏/中京圏/関西圏の3エリアで実施しています。

コロナ禍で“家族時間の大切さ”を実感するママが多数

共働きテレワーク実施ママたちの間で、多少生まれた時間的ゆとりが「家族や子供と過ごすための時間」として活用されている様子をVol.29でお伝えしましたが、意識の面でも変化が見られました。

図表Aはコロナ禍前(2020年1月頃)と、調査時点(2020年6月末)を比べた意識変化をまとめたものです。「家族みんなで過ごすことの大切さを改めて感じた」「子供の成長を見る機会が増えて幸せを感じた」などが共働きママ・専業主婦ママのいずれにおいても高水準という結果になりました。中でも共働きテレワーク週1日以上実施ママでは、8割以上の高い割合となっており、自宅で家族と接する時間が長くなった分、より家族と過ごすことの大切さを実感したママが多かったようです。一方、Vol.29で「自分時間の減少」が大きかった専業主婦ママでは、「生活全体的にストレスが増えた」が72.2%と高い割合となっていました。

実際の消費の面でも、共働きママに「コロナ禍で新たに購入したもの」を聞くと(図表B)、「子供のための本」「自分や子供が一緒に室内で遊べるボードゲームやカードゲーム」「自分や子供が体を動かすための玩具・道具」など、「子供のため、家族で一緒の時間を楽しむための“家族の絆消費”ともいえる消費」が、特にテレワーク週1日以上実施ママで伸びていたことが分かりました。

自分時間と家族時間、両方の充実でよりハッピーな暮らしに

家族で過ごすことの大切さを実感し、一緒に遊ぶための玩具などの消費が増えたテレワーク実施ママですが、今後の働き方への意向では、「家で子供を見ながら仕事をしたい」が45.4%、「仕事をする時間と、子供と過ごす時間を明確に分けたい」が54.7%となり、「子供との時間」と「自分(仕事)の時間」は分けたいという意識が優勢であることが分かりました(図表C)。

またテレワーク週1日以上実施ママたちの意識(図表D)を見ても、「子供を預けて息抜きすることも必要だ」が82.9%、「子供と自分の時間を分ける(個々の時間を持つ)必要を感じた」が82.8%と、「子供や家族と過ごす時間」を大切にしながらも、家族との時間以外での「自分時間」の充実を望んでいる様子がうかがえました。

前回から2回にわたり、コロナ禍によるママたちの生活や意識の変化をレポートしてきました。テレワークという新しい働き方を始めた共働きママたちは、以前と変わらず冷凍食品などの“お助け食品”を活用したり、パパと家事を分担することで家事シェアをしたりしながら、わずかに増えたゆとり時間を「子供や家族との時間」として活用しているようです。
結果として、家族みんなが楽しめる物の購買“家族の絆消費”が、特にテレワーク実施ママにおいて高い割合で見られました。一方で、「家族の時間」を大切にしつつ、独立した「自分時間」の充実・確保も望んでいる様子がうかがえました。
 
「子供や家族との時間」と「自分の時間」、いわばママとしての時間と一人の人間としての時間、双方のバランスを取りながら、どちらも充実したものにしていくことで、家族全体の幸せにつなげていく、これが共働きママの“ニューノーマル”なのかもしれません。「家族時間」と「自分時間」、ママのインサイトを考える上でのポイントとなりそうです。
 
次回は、コロナ禍がパパたちに与えた影響についてレポートしていきたいと思います。

「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」調査

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県 ・埼玉県・千葉県)
         ●中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)
         ●関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計2160ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2020年6月25日(木)〜7月1日(水)

上記ライター荒井 麗子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

  • 澤 裕貴子
    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

  • 河野 麻紀
    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。