コロナ禍によって、ママたちの意識・行動はどう変化した?①

イマファミ通信 VOL.29

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究所です。
当研究所では2020年度の調査研究第一弾として「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」に関する調査を行いました。自粛生活の中でテレワークという新しい働き方が急速に浸透し、共働き家庭だけでなく、家の中で夫婦と子供が一緒に過ごす時間が長くなった専業主婦家庭にとっても、生活に大きな変化がもたらされました。
調査時期は緊急事態宣言解除後、県境を越える移動規制も解除された後の2020年6月末ですが、コロナ禍により共働き家庭のママ・パパ、専業主婦家庭のママ・パパがそれぞれどのような生活スタイルに変化し、どのような意識を持つようになったのか等について調査しました。今回は共働きママ・専業主婦ママにフォーカスして結果をご紹介します。
※調査は首都40km圏/中京圏/関西圏の3エリアで実施しています。

共働きママのテレワーク実施率は、首都40km圏が最多

まずは働き方の変化として、テレワークの実施状況を見てみましょう(図表A)。これは、2020年6月末時点での共働きママのテレワーク実施状況を「首都40km圏」「中京圏」「関西圏」で比較したものです。これを見ると、週1日以上テレワークをしている共働きママは首都40km圏で35.5%にのぼり、週3日以上の高頻度テレワーク実施者も23.9%と、中京圏・関西圏に比べ高い結果となっています。背景に業種・業態による違いがあると考えられますが、首都圏を筆頭にテレワークが共働きママの間で浸透してきていることが分かります。

時間的余裕のない共働きママが多数派。
テレワークでわずかに余裕ができる?

次に、共働きママの「時間的余裕」がどう変化したのかについて見てみます(図表B)。これは首都40km圏における共働きママ・専業主婦ママの時間的余裕の有無を表したものです。共働きママの時間的余裕のなさは従来の調査で顕著でしたが、テレワークにより通勤時間が削減されたことにより、時間的余裕が生まれていることが予想されました。しかし、「時間的余裕があるほうだ」の質問に対して、共働きママ全体の「そう思わない」「あまりそう思わない」の計、つまり「時間的余裕なし」という答えが58.6%で、2016年度調査(59.0%)とほぼ同水準でした。調査を実施した6月末時点で、首都40㎞圏共働きママの2割以上が週3日以上のテレワークをしていましたが、テレワーク実施者を含んでもなお、時間的余裕のない共働きママが多数派という結果となりました。
 一方で、テレワーク実施ママ(週1日以上実施者)を非実施ママ(週1日未満)と比較すると、「時間的余裕あり」が27.8%とやや高くなっています。このことから、テレワークによって共働きママに多少の時間的余裕が生まれていることが分かります。

生まれた余裕時間は、子供と過ごすことに使うテレワークママ

テレワーク実施ママでは多少の時間的余裕が生まれていましたが、具体的な生活ではどのような変化があったのでしょうか。下の表Cは、首都40km圏においてコロナ禍前(2020年1月頃)と現在(2020年6月末時点)を比べて、どのようなことをする時間が増えたか・減ったかを表しています(マイナス数値は減った時間)。
 調査を行った6月末には、小学校では全国的にほとんどの学校で授業再開、幼稚園や保育園も登園自粛要請が解かれて、多くの子供が家の外に出ることが増え始めた時期でした。しかし、共働きママも専業主婦ママも「家族揃って家の中で遊ぶこと」「子供と遊ぶ時間」など、子供と関わる時間が大幅に増えています。一方で、専業主婦ママでは「自分自身の時間(自宅外)」が-40.6%、「自分自身の時間(自宅で)」が-28.9%と、共働きママに比べて自身の時間が激減している状況も浮き彫りになりました。
 さらに、同じ共働きママでもテレワークの実施状況によって違いがあることが分かりました。テレワーク実施ママは、テレワーク非実施ママに比べて「子供と遊ぶ時間」「子供の勉強を見る時間」など、子供と接する時間の増加が大きくなっています。先のデータで、テレワーク実施ママに時間的余裕が多少生まれたことに触れましたが、共働きママはテレワークによって生まれた余裕時間を、家族との時間に充てていることが推察されます。

冷凍食品は手抜きではない!子供との時間を創出するためのアイテムに

最後にママたちの「お助け食品」利用率の変化について見てみましょう(図表D)。これは冷凍食品やチルド食品などの「お助け食品」を平日の夕食に使う割合です。子供に関わる時間が増え、自分の時間が減ったと回答した割合が高かった専業主婦ママでは、「市販の冷凍食品」(9.9pt増)や「市販の調理済みチルド食品」(6.5pt増)など、2018年度の調査結果と比較して増加傾向が見られました。
 一方、もともと「お助け食品」の利用率が高かった共働きママでは、依然として高水準の結果となっています。特にテレワーク週1日以上実施ママでは「お助け食品」の利用率が高く、テレワークで多少生まれた余裕時間を家族との時間に充てるために、こうした商品を活用している様子がうかがえます。
 また、街中の惣菜店や外食については、2018年度調査時より利用率が大きく減少しており、代わって宅配サービスの利用が増加しているという結果になりました。

※2020年9月9日リリースで紹介した内容を、2018年度調査と比較できるようウェイト補正した数値を使用

コロナ禍により、共働きママ・専業主婦ママともに生活の意識や行動を大きく変える必要がありました。その中でもママたちが特に大事にしたのが「家族との時間」「子供との関わり」だったことが、今回の調査によって分かりました。今後は家族・子供との時間をつくるための商品やサービスが、共働き家庭だけでなく専業主婦家庭にもより拡がりを見せていくことになりそうです。
 長期化するコロナの影響で人々の生活スタイルが変化していく中、ママたちのニーズを満たすソリューションの提供や、気持ちに寄り添った広告の展開が求められていくのかもしれません。

<調査概要>「コロナ禍におけるパパママの意識・行動変化」調査

  • 調査地域 : ●首都40km圏(東京駅を中心とする40km圏内の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)
         ●中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)
         ●関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
  • 調査対象 : 末子が小学校3年生以下の25〜49歳の既婚男性・女性 計2160ss
         夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態、子供の学齢、居住地域で割付)
  • 調査期間 : 2020年6月25日(木)〜7月1日(水)

上記ライター澤 裕貴子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

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    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。