
移動の未来について考えながら“新しい移動”を構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」は、18~79歳の男女1,000人に対し、「今月のお出かけ意欲」を得点化してもらう調査を毎月実施しています。
「9月になったし、涼しくなるよね?」
2019年9月のお出かけ意欲指数は5.95点。前月(2019年8月)から0.48ポイント増加し、前々月の7月と同水準という結果になりました。お出かけ意欲が8月にガクっと落ちて9月にV字回復するのは昨年と同様の傾向です。
猛暑からひと段落、連休の多い9月はまさにお出かけ日和。しかし、調査が9月初頭だったこともあり、実際の声に耳を傾けると「まだ暑いので出かけたくない」という声もちらほら。つまり9月になったのだから涼しくなるだろう、という期待がお出かけ意欲を押し上げている面があるようです。
その期待とは裏腹に、残暑の続く今年の9月。意気揚々と外出してみたら結構暑かったことってことありますよね。気持ちは秋なのに、実際には夏というギャップが9月のお出かけの特徴です。私も出かけようと玄関を開けると「まだこんなに暑いのかぁ。。。」とテンションが下がりがちな日が何日もありました。夏は早く来てほしいのに終わりに近づくと早く終わってくれと思われがちな、ちょっと残念な季節ですよね。
「シルバーウィーク」意識は弱め?
今年の9月の連休は、土日月の3連休が2回と、昨年と同様の日並び。シルバーウィークというほどにはインパクトがないこともあり、「シルバーウィーク」というワードに具体的に触れる人はごくわずかでした。そもそも世間をざわつかせるほどのシルバーウィークは、2015年の5連休(2日休めば9連休)以来すっかりご無沙汰に。残念なお知らせですが、次に2015年のような大型連休になるのは2026年とのこと。シルバーウィークの死語化待ったなし???

お金を使うMoveは減少傾向?
9月の目的別お出かけ意識を見たものが次のグラフです。過去3年で並べてみたところ、「買物」「レジャー」のお出かけマインドに減少傾向が見られた一方で、「友人に会う」お出かけマインドは増加傾向にありました。わずかな傾向ではありますが、お金を使いがちなお出かけが避けられ、人とのふれあいを求めるものに動き出しているように見られます。お出かけにおいても“モノからコト”へのシフトが始まっているといえるかもしれません。

「友人に会う」だけを切り取り、年代別に見たものが次のグラフになります。

一目瞭然ですが、デジタルネイティブな18~29歳のスコアが年々高まっていることが分かります。SNSが普及しインフラ化したことで、ネット上で常につながっている状態になり、それが逆にリアルなふれあいへの欲求を高めることにつながっているのではないか、と私は思います。
8月は「お墓参り3割、帰省2割」
ところでこの調査では調査前月のお出かけの実態についてもきいています。先月のお盆はまだ記憶に新しいかと思いますが、2019年の8月、皆さん一体どこへMoveしたのでしょうか。
(尚、以下のランキングは買い物などの日常的なお出かけ先は除いています)

1位は「お墓参り」。28.5%とダントツに高いスコアでした。次いで「帰省・実家に帰る」が19.8%で続きます。8月のお出かけの主役はやっぱりこの2つでした。実はこの「お墓参り3割、帰省2割」の法則は過去3年間ほぼ変動がありません。令和最初の夏も、いつもと変わらない夏だったようです。
エンタメ系では「花火大会」「映画鑑賞」「温泉」が14%台で横一線。「温泉」がやや躍進しましたが、帰省のついでにひとっ風呂、という流れがあるのかも? いずれにしても「夏温泉」、あるかもしれませんね。「盆踊り・お祭り」は9.1%。これを高いととるか低いととるかはやや微妙ですが、ひとつ発見だったのは、首都圏居住者に絞ると11.0%とそのスコアが高いことです。祭りの数や幅広さがその要因になっているのかもしれません。
海vs山の争い(?)が昨年に続き海に軍配があがった中、地味に注目したいのは22位の「ナイトプール」。昨年話題になり、一時的なブームとして終わるかと思いきや、わずかながらポイントをあげています。「ナイトタイムエコノミー」が注目される中、夏の新定番として定着するか、来年の結果を見守りたいと思います。
<調査概要>
- ※調査手法 : インターネット調査
- ※調査対象 : 18~79歳の男女1,000人
- ※調査期間 : 2019年9月7日~9月8日
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。