
「移動減少社会」への進行が顕在化してきた今、外出する意欲まで失われてしまっているのか。2017年8月にはじまったMMI調査では、生活者のお出かけ意欲を0点から10点の11段階で毎月測定。その結果を「Move Mind Index」として発信してきました。今回はこれまで蓄積された調査結果をベースに、お出かけ意欲の移り変わりや個々人によるMMIの違いを分析。その結果をまとめましたのでご報告いたします。
四季が動かす日本のMOVE
これまで測定したMMIの最高値は2018年10月に測定した6.41点。最低値は2018年8月に測定した5.44点となりました。季節ごとに波があるのがわかるかと思います。

秋・春に上昇し、夏・冬に下降する傾向にあります。最近ではすっかり秋のイベントとしてハロウィンが定着。ここ数年人気テーマパークのイベント等で注目が集まっているイースターも徐々に浸透しつつあります。気候の影響が強いことはもちろんですが、ハロウィン・イースターに代表されるように、生活者の消費行動がその場・その一瞬を楽しむような限定的なコト消費に変化してきたことも背景にあるのかと思います。
お出かけ意欲は男低女高
以前の記事で年齢別の移動回数の違いを分析しましたが、MMIでも年齢による差がみられました。以下のグラフは1年間のデータを結合し、MMIを年齢別に見た結果です。

男女共に50代後半から年齢が上がるにつれてMMIは高い値を示しています。いわゆるセカンドライフに差し掛かるあたりから大きく増加することからも「自由な時間」がMMIと大きく関係していることは想像に難くありません。 一方50代以下では男女で大きく異なる結果となりました。男性は50代後半までは大きなブレもなくほぼ横ばいに推移。一方女性は、20代から50代にかけて大きく下降。50歳前後を最下点とするV字型を描いています。
誘わぬ男子と誘われ女子
なぜ若者は男女でお出かけ意欲に差がでるのか。その1つの要因として男性と女性の外出に対する意識の違いがあると考えます。 男性は女性に比べて外出に対して受け身の人が多いようです。以前お出かけに対する意識を調査した際に、男女いずれも4割の人が「外出するなら誰かと一緒がいい」と思う一方で、男性は誘わないし誘われない人が多い結果となりました。

Move Design Lab(MDL)ではMMI調査以外にも生活者の外出実態をひも解く調査を実施してきました。調査結果を通して筆者が感じた男女の外出への意識の違いを書きたいと思います。 前述の「誘わないし誘われない男性」という結果の背景には、男性の外出に対する目的志向意識の強さがあると考えます。女性は「友人と会うこと」が1つの外出目的になりますが、男性は「会って〇〇する」という明確な目的がないと動かない傾向が強いように感じます。目的ありきで動くため、女性と比べて外出しようと決めるまでのハードルが多くなります。まして趣味の多様化が進んでいるといわれる昨今、そのハードルはますます高くなっているのかもしれません。目的が一致する人をなかなか見つけられず「誘うのが面倒」「面倒だから一人で…」とソロMOVEに。終いには「1人なら行かなくてもいいか…」とお出かけ意欲が消失したような経験を持つ男性は少なくないのではないでしょうか。 ここまで年間のお出かけ意欲の変化、男女・年代による違いを見てきましたが、特に若年層における男女差が目立ちます。次回はこちらにフォーカスした分析結果をご紹介していきたいと思います。
※調査手法:インターネット調査
※調査対象:18~79歳の男女1,000人
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。