
ゴールデンウィークが明けた2023年5月8日。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、2類から5類に移行されました。それに先立ち空港での水際対策といわれる入国制限措置も撤廃され、日本への入国時にワクチン接種証明書やPCR検査の陰性証明書の提示が不要となりました。これは海外からの観光客だけでなく、日本から海外へ行く人にとっても大きなニュースでした。
そんな5類移行後の間もないタイミングで、実質解禁となった“海外旅行ムーブメント”の実態を調査しました。
海外旅行にはどれくらいの人が行ったことがあるの?
まず、海外への渡航経験はどうなっているのでしょう。(図表1)

全体でみると、海外旅行経験率は64.9%(A+B)で、約6割の方が海外に行ったことがあると回答しています。一方、海外旅行未経験率は35.1%(C)ですが、コロナ禍から現在(調査実施時点)までの間で、5.9%(B)が海外に行っていたと回答したのは意外でした。

これを年代別にみてみます。(図表2)年代が上がるにつれて、海外旅行経験率も上昇する傾向がみられます。18~29歳のコロナ禍以前の海外旅行経験率は、28.6%と全世代で最も低水準だった一方、コロナ禍から現在(調査実施時点)までの間で海外旅行経験をしたスコアでは10.7%と全世代トップを示していたのには驚きです。このように若年層では、海外旅行をしていない層と、積極的にしている層という二極化が浮き彫りになりました。
Z世代にとっては待ちに待った海外旅行
次に、“今後”の海外旅行について聞いてみました。(図表3)

2023年内に、“いずれかの海外へ旅行する予定があるか”と聞いたところ、男性では18~29歳が15.1%、女性でも18~29歳で23.2%と、男女ともZ世代が最も高いスコアという結果となりました。特に、18~29歳女性では、約4人に1人が、すでに海外旅行を計画していると答えたことになります。
海外旅行のきっかけ。1位は水際対策の撤廃。
すでに計画していると回答した方々に対して、海外旅行を思い立った理由を深掘りしてみました。(図表4)

その結果、「入国時の水際対策が撤廃されたこと(30.8%)」が最も高く、次いで「行動制限・行動自粛が撤廃されたこと(28.2%)」、「コロナウイルスが5類感染症に移行したこと(20.5%)」「自身がワクチンを接種していること(20.5%)」と続く結果となりました。
最後に、計画している旅行先を聞いてみました(図表5)。すると、全体では韓国、東南アジア、台湾と、近隣諸国の名前が挙がったのに対して、海外旅行に活発な18~29歳女性では、ハワイ(2位)や、中東アラブ地域(同率3位)が旅行予定先として挙がり、彼女たちのワールドワイドな移動意向の高さがうかがえました。

<調査概要>
- 調査手法 : インターネット調査
- 調査対象 : 全国18~79歳の男女 1,200人に実施
- 調査期間 : 2023年6月3日~4日
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。