【Move Mind Index号外】
5年分の生活者調査で探るコロナを経た移動行動の変化

Move Design Lab VOL.88

「3年ぶりの開催」。2022年の夏あたりからか、新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされていたイベントが再開されるニュースを見かけるようになりました。街に出ればコロナ禍以前のように人の往来は復活し、訪日外国人も戻りつつあるように思います。

生活者の「移動」はコロナ前に戻ったのか。もしくは変化したのか。
本記事では、2017年から毎月測定している生活者のお出かけ意欲「Move Mind Index(MMI)」をもとにMove Design Lab(MDL)メンバー及び元メンバーでコロナ前後の移動行動の変化を考える座談会を実施しました。

男女で異なる変化。出たがる男性と籠れる女性。

市川:MMIをはじめたのが2017年。最初のころは季節変動の波形くらいしか特徴がなかったけど…

中里:移動行動が四季に大きく影響されるのも、やらないとわからなかったことではあるね。ただコロナという移動に大きな制約が課せられる事態があった今、その変化を捉えるうえでは非常に意味のあるデータになったと思います。

市川:全体の傾向だと思ったより変動がなかったけど、性別や年代など属性別に掘り下げてみると傾向が異なっていた。60代では男女ともにお出かけ意欲は減少。それ以外の年代では女性が減少に対し、男性は増加と反対の結果になりました。

彦谷:女性が減少したのはコロナが怖いというより、家での楽しみを見つけた人が多い気がする。
別で実施した調査でも筋トレとか、ペットを飼うとか、料理とか女性の方がおうち時間を楽しんでいる感がありました。

東出:危機的な状況に女性は強いのかも。適応するっていうか。私自身もおうち時間に楽しみを見出したことで、外出するよりも…みたいな時間が増えたイメージです。

彦谷:あとウィンドウショッピングに代表されるように明確な目的がなくても移動行動が起きやすいのも女性の特徴ではないでしょうか。

中里:でもそれってコロナで真っ先になくなった移動行動のひとつだと感じます。
来年以降揺り戻しがあるかもしれないけど、移動の断捨離が起こったのかもしれません。

自粛中に出会った推しが、外出を後押し。

市川:女性のお出かけ意欲が下がった一方で、男性は増加している点はどう考えますか?

渡邉:20代男性の立場からすると、お出かけ意欲が上がったのはわかる気がします。元々の趣味だった野球観戦もようやく制限がなくなってきたので、これまでの鬱憤が晴らせそうです。
あと自粛期間中にハマったキャラクターがあって、最近ポップアップカフェにも行きました。

中里:それは推しが増えたということ?

彦谷:以前実施した調査でも、コロナ禍で推し活をはじめた男性が多いという結果が出ていました。

渡邉:外出できない期間は、家でYouTubeやSNSなどに触れている時間が多かったので、
結果、新たな「推し」が生まれてコロナ後の外出行動につながったのかもしれません。

市川:男性の若年層のお出かけ意欲を押し上げたのは、新しい推しの登場だとすると、
ミドル世代で上昇した理由は何が背景にあると思いますか?

サードプレイスを探す男たち。

彦谷:目的別のお出かけ意欲は全般的に増加している。特に目立つのが30-40代男性の「友人に会いたい」の増加。コロナ禍でテレワークが定着。働き方が変化したことで会社帰りの飲み会をはじめとした人と会う機会が減った反動なのかもしれない。

中里:それ、ちょっとわかるような気がします。まず前提として、コロナ禍で家族と過ごす時間が増えたことはすごくいい変化だった。子どものちょっとした成長をより間近で感じられたのはテレワークのおかげだと思う。一方で家と仕事がシームレスになることで余白がなくなったと感じることもある。だから特段用はないのにコンビニに行くとか「とりあえず外出」が増えたかも。

東出:それはサードプレイス願望があるのかもしれませんね。家の自分でもなく、仕事をしている自分でもなく、ひとりの人間になれる場所や時間を求めている。

市川:コロナ初期にSNSで見かけた「苦痛だった通勤時間が、ひとりになれる貴重な時間と思えるようになった」という投稿が印象に残っています。生活や働き方が激変したコロナ禍で、ひとりの時間の貴重さを再認したことと、その時間を楽しむための“推し”との出会いが男性のお出かけ意欲を押し上げた背景にあるのかもしれないですね。

彦谷:インスタ映えや女子旅など移動行動のトレンドでは女性が注目されがちでしたが、最近だとソロキャンプなど男性のソロ活を中心としたものも増えてきています。

渡邉:キャンプギア収集なんて言葉があるように、何かを極めたくなってしまう男心をくすぐるような存在があると大きな男性ソロ活市場につながるのかもしれませんね。

市川:「おひとりさま」「ソロ活」といえば、なんとなく若い女性のイメージがあったけど、今後は男性のひとり移動にも注目していきたいと思います。

<調査概要>

  • 調査手法 : インターネット調査(毎月実施)
  • 調査対象 : 全国18~79歳の男女 1,200人に実施 ※2022年3月までは1,000人

上記ライターMove Design Labの記事

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

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  • 五明 泉
    五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長

    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠
    中里 栄悠 Move Design Lab プロジェクトリーダー/シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子
    彦谷 牧子 Move Design Lab データアナリスト/ シニア ストラテジック プランナー

    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

  • 市川 祥史
    市川 祥史 Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト

    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

  • 鷹羽 優
    鷹羽 優 Move Design Lab ブランドコンサルタント

    ブランド戦略を専門とし、菓子・飲料・生活雑貨・人材など多くのブランド開発、リブランディングを手掛けた後、2018年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。ブランドマネジメントの観点からコミュニケーション立案を行う。

  • 松本 阿礼
    松本 阿礼 駅消費研究センター研究員/Move Design Lab・未来の商業施設ラボ メンバー

    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事した後、2015年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。

  • 渡邉 裕哉
    渡邉 裕哉 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2020年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。飲料、トイレタリー、ホテルなどのプランニングを担当する。

  • 明山 想
    明山 想 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。BtoB、トイレタリー、クレジットカード会社などのプランニングを担当。

  • 片山 晴貴
    片山 晴貴 Move Design Lab コミュニケーションプランナー

    2021年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局配属。 家電、損害保険、不動産などのプランニングを担当する。