
皆様、夏休みはいかがお過ごしでしょうか。帰省や旅行に行かれた方、または自粛しお家で過ごされた方などさまざまかとは思いますが、多くの方の頭の隅にはコロナの存在があった上で過ごされたことと思います。そこで私たちは、コロナが収束して世の中がポストコロナ時代に向かった際に、生活者は誰と/どこに旅行に行きたいのか調べてみました。調査結果から見えてきたのは、若い女性の特殊性です。
今回はU-29の女性にフォーカスをあて、コロナ収束後の旅行を展望してまいります。
U-29女性は女子旅を選択!
旅行といえば、「どこに行くか」と同等かそれ以上に重要なのは、「誰と行くか」という点にあるのではないでしょうか。「コロナが収束としたとして、最初に誰と旅行に行きたいか」という質問の回答結果が次のグラフです。全体では「家族旅」であったのに対し、U-29の女性に限り「女子旅」が最も高い結果になりました。

U-29女性が全体の傾向とは異なり、家族旅行よりも女子旅を優先する背景は様々かと思います。理由を尋ねてみると、最も高かったのが「気兼ねなく行ける」で59.6%、次いで「同性同士の方が楽に過ごせるから」が36.2%で続きました。若い女性にとっての気が置けない存在は家族以上に同性の友人なのかもしれません。そうした友人と気楽に楽しむことのできる女子旅はコロナ禍で長らく抑制されてきましたが、コロナの収束が近づいていくにつれてその欲求は再燃し、徐々に「解禁」されていくものと推察します。
女子旅が求めているのはヴァカンス気分
では旅行先としてどこを望んでいるのでしょうか。U-29女性で最も高かったのは「沖縄」で、全体トップの「北海道」よりも高いことがわかりました。コロナ禍で閉塞状況にある中で、開放感あるオーシャンブルーに包まれた女子旅に胸をはせる若い女性が多くいることが推察されます。U-29女性は他の層より海外旅行志向が強く、閉塞された状況から遠く離れた土地に逃避してヴァカンス気分を味わいたい、という彼女たちのインサイトが見え隠れします。

U-29女性の情報源はInstagram!
ところで、彼女たちはどのように旅先についての情報収集を行っているのでしょうか。
次のグラフは旅行先の情報収集源について尋ねたものです。特筆すべきはU-29の旅行の情報源としてInstagramが際立っている点です。若い女性は旅行サイトなどで調べるのではなく、Instagramを駆使して旅の情報収集を行う傾向が強く見られます。その理由としては若い女性の旅先選定が“映(ば)えファースト”であることが大きいのではないかと私は考えています。一方で「YouTubeの旅行動画」も11.6%と4番目に多いことからも、若年女性においては旧来とは異なる旅の情報収集が生まれ始めていることを読み取ることができます。

MDLではInstagramなどのSNSで行きたい場所をストックする行動を「To Go ストック」と呼んでいますが(過去記事はこちら)、旅行先を決めるプロセスにそうした行動が定着しているものと私たちはみています。
コロナの状況はまだ不透明ではありますが、コロナが収束していくにつれて、機動力ある若年女性の「女子旅」が活性化していくものと思われます。SNSでの発信力の強い“旅のイノベーター“である彼女たちが、コロナで大きく停滞した旅に活力を与えていくことを願ってやみません。
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。