家族の幸福度アップの鍵は、パパの家事関与にあり!

イマファミ通信 VOL.9

共働きパパとママの意識ギャップ。ママの自己評価は低すぎる?
こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。 さて、今回のテーマは「家族の幸せ」。共働きママ、専業主婦ママと、それぞれのパパたちの幸せ度に関する調査からイマドキ家族の幸せのカタチを読み解きます。チームの活動とプロジェクトの目的についてはVOL.1の記事に詳しく掲載しているので、そちらもぜひお読みください。

妻が共働きか専業主婦かは、幸福度に影響しない

まずは、共働き家庭とそうでない家庭で、当事者が感じる幸福度に違いはあるのかどうかを見てみました(表1 妻の働き方の違いによる幸せ度 パパ分析/ママ分析)。妻の働き方の違いによるパパの幸福度を見ると「妻がフルタイム共働きママ」の場合と、「妻が専業主婦ママ」の場合ではほとんど差がありません。同じように、ママ自身の幸福度についても、フルタイム共働きママと専業主婦ママの間に、差がないことがわかります。このことから妻が働いているか否かは、家族の幸福度に大きな影響を及ぼすことはないといえるでしょう。

表1

共働きパパの家事関与の違いが、幸せ度の差に

次に、夫の家事関与度別の結果を見てください(表2 共働きママの夫の家事関与度別の幸せ度)。こちらは共働きママの幸福度を聞いているものですが、結果はご覧のとおり、夫の家事への関与が高いママのほうが幸福度が高いことがわかりました。働くママたちは、家事にきちんと関わってくれる夫であるほうが幸せを感じているようなのです。
ちなみに、ここでいう「家事関与度が高い夫」とは、ママに比べてパパの実施率の低い家事(たとえば朝食作り、部屋の片付け、洗濯物干しなど)を引き受けている夫のことを指します。パパの家事実施率について詳しくはVOL.6の記事をご覧ください。

表2

幸せな共働きママは、パパへの思いやりも増加?

そしてもうひとつ、興味深いデータがあります。共働きママの中で、幸せだと感じている人とそうでない人を比較してみると、配偶者に対する意識に大きな違いがあることがわかりました。「休日はパパに休息時間をつくってあげたい」という意識は、幸せだと感じているママは、そうでないと感じているママに比べて高く、その差は約30ポイント。幸せなママは、そうでないママよりも倍近くパパに休息時間をつくってあげたいと思っていることがわかりました(グラフA 「休日は配偶者に休息時間をつくってあげたい」と思っているママの割合)。
これらを考え合わせると、パパが家事に関わっているほうがママの幸福度は高くなり、ママが幸せだとパパへの思いやりの気持ちも高まる、という好循環につながる可能性が見えてきます。

表3

しかしながら、パパの家事関与については、パパの意識の問題ももちろんありますが、パパの職場環境=働き方や働く時間によって変わってくると想像できます。パパが家事・育児に関わりたいと思っていても、仕事で帰宅時間が遅くなってしまい、実際にはなかなか協力できないという状況もあるでしょう。社会全体で子育て世帯のパパママの働き方について考え、より子供を育てやすく、家族全体の幸せにつながる支援が必要とされているのかもしれません。

■調査概要
「2016年度 共働き家族の実態調査」
・調査地域:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
    (東京駅を中心とする40km圏)
・調査方法:インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
・調査対象:末子年齢が0〜9歳の、25〜49歳の既婚男女1710ss

上記ライター荒井 麗子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

  • 荒井 麗子
    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

  • 土屋 映子
    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。