“推し活”を全力で応援したい。
そして、応援広告の文化を日本に根づかせたい
-jeki応援広告事務局

jekiが描く交通広告の未来VOL.7

対談者
写真左)jeki JR東日本グループデジタル推進局 営業推進部 河原 千紘
写真右)jeki OOHメディア局 OOHメディア第二部 小林 礼奈

アイドルやキャラクターなど“推し”を応援する「推し活」の一環として、日本でも盛り上がりを見せつつある応援広告。今回は、jeki応援広告事務局のメンバーであるJR東日本グループデジタル推進局 営業推進部 河原 千紘とOOHメディア局 OOHメディア第二部 小林 礼奈が、事務局設立の経緯や応援広告の可能性などについて語り合いました。

応援広告の専門サイト「Cheering AD」はこちら

ソウル発祥、ドバイやNYでも展開。いま応援広告が熱い

日本でも応援広告を目にする機会が増えてきました。

河原:もとは韓国発祥で、アイドル本人に向けた「センイル(お誕生日)広告」から始まり、アイドルオーディション番組で一気に普及しました。自分の“推し”を広く知ってもらい投票数を上げようという活動が、広告を使って本格化した感じです。

小林:ファンダム(熱心なファンの集団)の勢いがすごいですよね。韓国から、ドバイ、米国などにも拡大して、駅やビル街頭のポスターだけでなく、ドローンを使ったショーや、街頭の巨大サイネージを使った大規模な企画が登場しています。ニューヨークのタイムズスクエアもすでに“聖地”だとか。他にも、カフェとのコラボや、ラッピング電車、ラッピング飛行機など、続々と事例が増えています。

河原:韓国発の人気アイドルオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版がスタートした関係で、日本でも応援広告に注目が集まるようになり、jekiにも広告を出したいと相談がくるようになりました。

“推し活”を応援したいという気持ちが源動力

お二人はどのような経緯で応援広告に携わることになったのでしょうか?

河原:私自身がK-POPのファンで、最初は日本でも応援広告を出せるようにしたいという個人的な思いが強かったんです。2019年に『PRODUCE 101 JAPAN』がスタートし、韓国式の応援文化が持ち込まれました。ただ、交通広告を管理する電鉄会社や媒体社のほとんどは、個人との取引を行っておらず、広告会社のサポートが必要なのは明らかでした。jekiにはそのための窓口がなかったので、自分のTwitterで営業活動を始めたんです。

河原:とはいえ、当時は「応援広告」という言葉も普及しておらず、個人との取引をどのように進めるかの議論に始まり、試行錯誤の連続でした。2020年3月に『PRODUCE 101 JAPAN』でデビューする11人の出身地に応援広告を出したいとリクエストをいただいたときは、社内外の調整に走り回りました。大変でしたが、実現できて感無量だったことを覚えています。

小林:私は入社する直前でしたが、本当に大変だったと聞いています。ただ、それがきっかけで電鉄会社も徐々に応援広告に興味を持つようになり、最近では電鉄会社側から積極的に掲出場所などのご提案をいただくことも増えました。

河原:応援広告の文化を日本にも根づかせたいという個人的な思いと、これは事業として確立できるというjeki社員としての手応えから、社内で行われている新規事業創出プログラムに応募しました。入賞こそ逃しましたが、事業化の可能性を探るため、応援広告チームが設立されることになったんです。チーム編成の際に、小林さんが“推し”の応援広告を出したことがあると聞いて、「これはスカウトせねば!」と小林さんが所属しているOOHメディア局に押しかけました(笑)。

小林:お声がけいただいて、すごく嬉しかったです。私自身、ファンの気持ちが分かるのと、通常業務では交通広告の提案・バイイングを行っているのとで、シナジーが出せると思っていました。そこから準備を進め、2022年1月に応援広告の専門サイト「Cheering AD」を立ち上げ、ついで5月にjeki応援広告事務局を設立しました。

応援広告の専門サイト「Cheering AD」

電鉄会社・媒体社やタレント事務所との信頼関係が強み

応援広告を扱っている広告会社も増えてきました。

小林:2021年の『PRODUCE 101 JAPAN』のセカンドシーズン以降、「メンバーの出身地で応援広告を出したい!」という問い合わせが増え、各地の電鉄会社との調整を一手に引き受けました。また、JO1の木全翔也さんのお誕生日には全国47都道府県の駅に応援広告を出したいということで、調整も47駅分とかなりハードでした。ただ、長年にわたり全国の電鉄会社・媒体社との信頼関係を築き上げ、交通広告に対する知見と実績があるjekiだからこそ、スムーズに実現できたと思います。

河原:jeki応援広告事務局では、交通広告に限らず、たとえばLUMINE ESTやNEWoManなど、駅商業施設にあるカフェとのコラボレーションイベントもご相談いただけます。これも、JR東日本グループだからこその強みですね。

3D巨大ネコで話題のクロス新宿ビジョン。にじさんじ所属 叶さんのお誕生日広告

センイル広告の聖地となっているユニカビション。3面大型ビジョンで街中をジャック

にじさんじ所属 長尾景さんのお誕生日広告。箔押し(浮き出し)加工などの工夫を凝らしたポスター

米倉涼子さんお誕生日広告。jekiでの俳優さんの扱いは初めて。推し活はアイドルだけにはとどまりません

菅沼千紗さんお誕生日広告。ライブに合わせて会場付近で展開

タレントの所属事務所への許諾確認はどのように行っているのでしょうか?

河原:応援広告を展開する上で重要なのが、所属事務所への許諾確認です。多くのタレント事務所は制約が厳しく個人のファンにはタレントの写真を提供しないところも多いです。しかし、私たちは広告会社なので、事務所との調整や手続きにも慣れています。応援広告そのものが不可という事務所も多いですが、そこは今後の応援広告の浸透次第ですし、ひいては私たちの今後の頑張り次第と考えています。

リアルを超え、SNSで一体となるファンダム

河原:私たちから事務所へのアプローチも積極的に行っています。先月、多種多様なインフルエンサーが所属するVTuber/バーチャルライバープロジェクトである「にじさんじ」の応援広告の受付を開始しました、とツイートしたところ、1万以上の「いいね!」をいただき、たくさんの問い合わせをいただきました。

小林:応援広告には「そこに行かなければ味わえないリアル」がありますが、SNSでのつながりも大きな魅力です。現場にいるファンのつぶやきが拡散されることで、ファンダムが一体となり、大事な時間を共有しているという喜びを感じます。ファンはもちろん、アーティスト、電鉄会社の3者が皆ハッピーになれることを目標として、新しい応援手法を考えたり、海外ファンを巻き込んだりと、応援広告の可能性をもっともっと追求していきます。

河原:応援広告が本格化した背景には、コロナ禍の影響が大きかったと思います。ライブはもちろん、握手会やハイタッチもできないし、グッズも買いに行けない。いままで通りの応援ができなくなるなかで、応援広告という新しい手法を見つけたのだと思います。さらにコロナ禍が落ち着き始めても、この動きは加速化し、リアルのイベント会場の近くに応援広告を出したり、ライブの帰りに寄るためにカフェ広告を出すなどの事例も出てきました。浸透しつつある応援広告の文化を、もっと日本に根づかせていきたいと思います!

河原 千紘
デジタルマーケティング会社の営業を経て2017年jeki入社。
営業として駅ビル商業施設のプロモーションを担当した後、
2021年にJR東日本グループデジタル推進局 営業推進部に異動。
jeki応援広告事務局「Cheering AD」立ち上げメンバー。
プライベートは推し事で大忙し!

小林 礼奈
OOHメディア局 OOHメディア第二部
2020年jeki入社
OOHメディア局で全国の交通メディアを担当。
jeki応援広告事務局「Cheering AD」立ち上げメンバー。
プライベートでは推し活全力投球。

上記ライター河原 千紘
(jeki-X)の記事

上記ライター小林 礼奈
(第三営業局)の記事

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生活者の行動やメディア環境が激変するなか、jekiが描く交通広告の未来とは。調査で見えてきた交通広告の今や、新たな価値創出の取り組みを紹介します。

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