
写真右より
OOHメディア局 OOHメディアDX推進部長 谷内 洋之
OOHメディア局 OOHメディア第二部 林 知寛
OOHメディア局 OOHメディア第一部 三井 麻衣子
オンラインにおけるコミュニケーションが活性化する中で、リアルなチャネルであるOOHメディア(以下、OOH)に求められる役割や効果も大きく変化しています。そうした背景のもと、ジェイアール東日本企画(jeki)は2022年3月にOOHポータルサイト「Universal OOH」を開設しました。今回は、プロジェクトチームの4人が、サイト開発の狙い、具体的な機能や活用法、そして今後の展望について語り合いました。
わかりやすく使いやすいメディアへ、OOHのイメージを変えたい
谷内:「Universal OOH」のオープンは、OOHのユーザビリティの向上を念頭に立ち上げた、同名プロジェクトのマイルストーンの一つになります。今回、私は部長として参画しましたが、皆さんがどのような思いや目的意識を持って取り組んできたのか、改めて聞かせてもらえますか。

林:私はOOHの中でも屋外広告の専門家として、多くのプロモーションに携わってきました。OOHは地味なイメージを持たれがちですが、実際はスタイリッシュな広告や面白い企画なども多く、そのような事例を「Universal OOH」で多く紹介することで、さらなる活性化が図れればと思っています。
松永:私はOOH担当歴は浅いのですが、営業担当としてマスメディアやデジタルメディアなどさまざまなメディアに関わってきました。その経験を踏まえて、他にはないOOHの魅力や活用法を発信し、成長させることをミッションと捉えています。
三井:私は以前、マーケティング部門で、OOHに関する社内向けの情報発信に携わっていたこともあり、今回社外にもOOHの魅力を伝える機会に恵まれたことを、大変嬉しく思っています。
私たちメンバーはOOHの可能性を強く感じています。だからこそ、JR東日本のメディアや当社の事例ばかりを扱うのではなく、フラットに、あらゆるOOHをわかりやすく紹介する"王道的なサイト”にしたいという意見で一致しました。サイトの名称を「Universal OOH」としたのにも、そんな思いが表れています。

UNIVERSAL OOHサイト:https://universal-ooh.jeki.co.jp/
顧客のペルソナに合わせ、目的別に探しやすい検索機能を強化
林:まず、サイトの開発にあたっては、ペルソナを設定し、盛り込むべき機能や見せ方を検討しました。
ペルソナは、「D2Cで事業を展開している会社のマーケティング部門に所属。これまでWeb広告を中心に展開しており、次のステップとしてリアルのタッチポイントを求めているものの、OOHには詳しくないA氏」としました。
三井:世にある交通広告ポータルサイトの多くは、メディアの名称一覧から車両メディア・駅メディアを検索していくといったように、メディアガイド的な側面が強いです。媒体に詳しくなく、具体的な出稿イメージがないA氏には、これでは検索は難しいのでは、と考えました。
松永:OOHは、メディアの種類も多く、組み合わせの自由度も高いですからね。それゆえ、ある程度知見のある広告主の担当者でも、予算内でどんなOOHを出稿できるのか、どの組み合わせが最適なのか、調べたり見積もったりするのが難しいという課題もありました。「詳細は代理店に相談を」ということなのかもしれませんが、それではハードルが高い。
そこで「Universal OOH」では、OOHを初めて検討するA氏のような方から、ある程度知見のある担当者まで、誰もが簡単にメディアを比較検討できるよう、検索性を工夫しようという話になりました。
林:検索に関してはかなりこだわっていて、「エリア」「路線」「駅」「メディアの種類」という分類からの検索はもちろんのこと、ハッシュタグを使い、出稿したいイメージから検索できるような作りにしました。この「特徴から探す」という検索方法は、検索順の一番上に置いています。おそらく、OOHに興味を持ち始めた方なら、事例やコラムを先に見て、「こんなことをやってみたい」と目的ベースで検索するのではないかと。「#ジャック」や「#バズ」などは人気タグなのですが、私たちには「バズらせるなら、あのメディア」という暗黙知があり、それをサイトに反映させているというわけです。長年OOHに向き合い、知見を蓄積してきたjekiならではの強みだと思っています。
松永:検索結果の順番も、目利きが選んだ”おすすめ”をお見せする感じにしています。そのあたりも含めて、私たちは常にOOH業界のトレンドを意識してサイトを運用しています。
OOH初心者から経験者まで、役に立つコンテンツを提供
三井:また、「Universal OOH」では、事例紹介にもこだわっています。OOHの具体的な展開事例を求めているお客さまは多くいらっしゃいます。そうしたお客さまがご自身で自由に検索できるよう、また、アイデアの宝庫となるよう、多くの事例を収集し、順次掲載しているところです。
林:事例の一部は、クライアントに直接取材をして、プロモーション全体の中でなぜOOHを活用されたのかをお聞きして、「Why? OOH」という形でまとめています。新規顧客層への認知や、公共空間での広告による信頼度向上を魅力として挙げる方が多いのですが、「時間や空間が限られているからこそ、その特性を上手く活かせれば、他のメディアでは実現できないストーリーが作れる」という独特かつ本質的なご意見もいただき、私も目からウロコが落ちた気がしました。感覚的な反響も含めて売上に貢献したと評価してくださる方が多く、そうした定性的な効果についても紹介・蓄積できるのが事例の良さだと思っています。

谷内:OOHの事例をきっかけに来訪し、そこに掲載されているメディアを複数検索するユーザーも多いと思います。その時に便利な機能として、「予算チェッカー」も配置しました。事例やコラムのハッシュタグをたどったり、検索機能からメディア情報を閲覧し、「いいな」と思ったらチェックを入れると、最終的に「いいな」と思ったものがすべてまとまっているというものです。
松永:事例紹介はもちろんですが、OOHコラムにもぜひ注目していただきたいです。コラムでは事例以外のあらゆるトピックスを多様な視点で紹介しています。例えば、OOHにおけるクリエイティブの話やAI活用といったDXに関する話を紹介するものもあります。こちらはある意味、ごった煮感はありますが、読み物として楽しんでいただける内容で、OOHの施策のヒントにもなると思います。

三井:OOHは初めてという担当者には、「OOHとは」をお勧めしています。OOHの魅力や効果などを少し感覚的にまとめており、短時間で理解していただけるように工夫しました。OOHのリアルならではの魅力として、思いがけない出会いやそれゆえ記憶に残りやすいといったことをエビデンスなども含めて紹介しています。例えば、広告主企業の担当者が社内でOOHについて説明する必要があるときなどにも使っていただけると思います。
また、サイトをローンチして、予想以上に好評だったのが、「OOH講座」です。OOH特有の用語の解説など、初めてOOHに触れる人が戸惑わないための内容になっており、先日、ある代理店の方から新人研修資料の基礎用語に使いたいというご要望もありました。
谷内:新型コロナウイルスの蔓延で、一時的に人流が減ったことで、OOHの訴求力に疑問を持つ方もいらっしゃると思います。しかし、だからこそ、本来OOHが持つポテンシャルや価値を、私たち専門家ならではの視点を加えて広く発信していきたいと思います。OOHの情報なら「Universal OOH」と思ってもらえるようなサイトに成長させていくとともに、業界全体を盛り上げられるよう、コンテンツを拡充していきたいですね。
UNIVERSAL OOHサイト:https://universal-ooh.jeki.co.jp/

谷内 洋之
OOHメディア局 OOHメディアDX推進部長
2005年jeki入社。JR東日本をはじめ全国のOOHに精通。「Universal OOH」プロジェクト発足メンバー。新設のOOHメディアDX推進部長としてサイト運営に携わる。

林 知寛
OOHメディア局 OOHメディア第二部
2020年jeki入社。全国の屋外広告に精通。
「Universal OOH」サイトではペルソナ・カスタマージャーニーの設定や、屋外広告の知見をもとにした事例作成を担当。

三井 麻衣子
OOHメディア局 OOHメディア第一部
2003年jeki入社。営業、マーケティングの部署を経て、2017年よりOOHメディア局でJR東日本のメディアを担当。