
未来の移動とそこにあるべきコミュニケーションを構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」は、全国男女18~79歳のお出かけ意欲を毎月の定点調査で聴取し、Move Mind Index(以下MMI)としてスコア化しています。
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お出かけ意欲は復調傾向。若年層はコロナ前よりも高い結果に。
2月のお出かけ意欲(MMI)は、10点満点中5.15点。前年同月比で89%でした。一部エリアで再発令された緊急事態宣言の影響で1月は大きく下落していましたが、2月には心理的には回復基調にあることが分かりました。

年代別では、コロナ直前の昨年2月と比べて若年層の落ち込みは限定的で、特に18-29歳は男女共に昨年よりもスコアが上回るという現象がみられました。一方で高齢層の下落は大きく、若高老低の傾向がみられます。

お出かけ意欲(MMI)と同様、週末外出率も復調傾向
次のグラフは実際の外出率です。2月の週末外出率(土日いずれかの外出率)は47.9%。前月と比べて5ポイント上がりました。お出かけ意欲(MMI)と同様、前月からの復調を確認することができます。

「コロナが落ち着いたら行きたい場所がある」が7割
コロナで外出自粛が続いていますが、実際に何をどの程度自粛しているのでしょうか。自粛率の高い順に並べたランキングが次の表です。

聴取した39項目のうち、自粛率が50%を上回ったのは34項目。ほとんどのお出かけが相当の割合で実際に自粛されていることが分かります。そもそも規制されている海外旅行に次いで自粛率が高かったのは、フードフェスや飲み会、果物狩りなどの飲食系のお出かけでした。さらに遊園地やウインター/マリンスポーツ、ロックフェス、カラオケ、舞台鑑賞などのエンタメ系が上位に来ており、感染リスクの高い飲食と、不要不急のエンタメ系のお出かけは9割が自粛していることが分かりました。
外出自粛が続き、行きたくても行けない状況が続く中、生活者はいまどのような心境なのでしょうか。今回の調査ではおよそ7割の人がコロナが落ち着いたら行きたいと思っている場所があることが分かりました。また同様に約7割がコロナが落ち着いたら積極的に外出したいと回答。移動のリバウンドを強く予感させる結果となりました。また、6割超はコロナ禍で行くことができていない場所に早く行きたいと考えており、お出かけについても元の状況に早く戻したいと考えている人が多数派であることが分かりました。一方で、コロナが落ち着いても財布のひもを緩める人は4割にとどまるなど、堅実な消費意識も垣間見られました。

では、コロナが明けたら具体的にどこへ行きたいのでしょうか。
「コロナが落ち着いたら」という条件付きでお出かけしたい場所を尋ね、ランキングにしたものが次の表です。

トップは海外旅行で7割超がコロナ明けに行きたいと考えています。国内旅行も3位にランクインしており、コロナ明けにまず旅行したいと思っている人がとても多いことが分かりました。また、フードフェスやロックフェスなどのフェス系もコロナ後すぐに客足が戻る可能性が高いと考えられます。加えて、飲み会やカラオケといった仕事帰りの手軽なエンタメも6割が首を長くして解禁を待っています。これらの根強いお出かけは、コロナが落ち着いた際に顧客が殺到する可能性がかなり高いと推測します。
一方で、コロナが落ち着いてもお出かけ意向の低いものも存在します。これらはポストコロナで仕分けの対象になるお出かけになっていく可能性があり、注意深く見守る必要があります。
新型コロナウイルスの感染拡大への緊張が依然続いており、その時々の情勢でインサイトは乱高下しています。MDLでは引き続きお出かけ意欲をウォッチし続けてまいります。
<調査概要>
- 調査手法 : インターネット調査
- 調査対象 : 18~79歳の男女1,000人
※国勢調査の人口構成比に合わせて、性別×年代×エリアで割付 - 調査期間 : 2021年2月6日~7日
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。