
スマートフォンの普及により、昼夜場所を選ばず気軽にゲームが楽しめるようになりました。また、移動することによって進行する「移動ゲーム」等の登場によって、ゲームは人々の外出にも大きな影響を与えはじめています。そこで、MDLでは、「ゲームにまつわる移動」について、男女1,000人にたずねてみました。
若者の約6割、70代の約3割が週1回以上ゲームをプレイ
そもそも日常生活において、どれくらいの人がゲーム機器を用いてゲームをプレイしているのでしょうか。その結果、週1日以上ゲームをプレイする人は、全体:37%。年代別で見ると、18~29歳:57%、30代:53%と若年層で高くなっている一方で、60~70代も3割近くがゲームをプレイしていることがわかりました。

18~29歳の3人に1人は移動中にゲームをプレイ
これをシーン別で見てみると、ゲームプレイ率が最も高かったのはやはり自宅。世代別で見ると、興味深いことに、18~29歳の3人に1人が移動中にゲームをプレイしていることがわかりました。スマホネイティブと呼ばれる世代を中心に、ゲームプレイ自体に変化が起き始めているといえるかもしれません。

また、『Pokémon GO』など移動そのものを誘発させるゲームが話題になる中で、今後ゲームは”移動”にどのような影響を与えていくのか。それを探るべく、2018年9月20日~23日の4日間で開催された、最新のゲーム情報が集うイベント「東京ゲームショウ2018」を取材しました。
約30万人が集う東京ゲームショウで見つけた新たな“移動”の兆し
668社の華やかな展示とゲームファンの熱気が立ち込める中、我々が注目したのが、セガゲームス様より配信されているスマートフォンゲーム「D×2 真・女神転生リベレーション」です。
これは1992年より発売が開始された「真・女神転生」という大人気ゲームシリーズのアプリゲームです。
ゲームの面白さやクオリティもさることながら、特に目に留まったのが、特定のキャラクターを拡張現実に登場させることができるAR機能です。前例のないゲームと移動の掛け合わせということで、ご担当者様に更に詳しいお話をお伺いしました。

“移動”の要素は“ファンを拡げる鍵”
「D×2 真・女神転生リベレーション」に、AR機能を実装された理由について。
「『真・女神転生』シリーズは、25年以上ファンが支えてくれている作品ですが、もっと沢山の人に楽しんでもらう為に、シリーズ作品を知らない方・遊んだことのない方でも気軽に楽しめる企画としてAR機能は早いタイミングから実装に向けて準備を進めてきた企画のひとつです。本作の特徴である、携帯端末から悪魔を召喚するストーリー設定や、質感など細部までこだわって作成した悪魔CGを活かし、現実世界への悪魔召喚を疑似的に体験できる現在の仕様「ARView」(AR悪魔召喚+撮影機能)を実装しています。「悪魔」と「現実世界」が融合した写真を撮影出来る仕様は楽しみ方の幅を広げるだけでなく、画像拡散にもつながります。実際に、このAR機能を使ったフォトコンテストを開催したところ、作品きっかけではなく、フォトコンテスト目当てでゲームを始めてくださった方もいて、ファン拡大へ確かに寄与していると実感しています。また、ゲームユーザーさんはTwitterやInstagramを利用している方が多いので、写真との相性も良いです。何より悪魔が写った不思議な写真は本作を知らない方にも関心を持ってもらうきっかけとなり、加えて、リアルな世界で悪魔が召喚できるかのような今までにない仕組みは、ゲームの楽しみ方を更に拡張させることができると思っています。長年のファンと新規ユーザーさん両方にご満足いただける機能だと感じております。」



ファンが作り出す新たな“移動”「聖地召還」
また、この機能によって生まれた移動についてもお伺いしました。
「ユーザーさんは、わざわざキャラクター縁の地や画になる旅行先などで悪魔を召還し、かっこいい写真を撮ってくださっています。例えば、ゲーム内に毘沙門天をモチーフにしたビシャモンテンという悪魔が登場するんですが、その悪魔を上杉謙信縁の地で召還して撮影されていたものや、クルースニクという悪魔をわざわざ海外で撮影した写真などがものすごくかっこよくて印象に残っています。キャラクターの聖地や、悪魔が映えるロケーションまで行って撮影するというのは正にファンの方ならではの移動だと思います。今後、より世界中で悪魔を召還した画像がアップされたら嬉しいですね。」

今後の展望リアルとバーチャルがより密に融合したゲーム展開へ
最後に今後の展望についてもお伺いしました。
「現在はデモ段階ですが、画像認識と位置情報を使った新しい楽しみ方として、様々な場所で指定のものを撮影すると、悪魔が集められるコンテンツにしていきたいです。また、その悪魔を本編のゲーム上でも使用出来るようにしていく予定です。ゆくゆくはリアルなお店も絡めて、“店舗限定でこの悪魔が召還できる”みたいな企画をやってみたいですね。」
「D×2 真・女神転生リベレーション」は正にリアルな移動とバーチャルを融合させたハイブリットコンテンツでした。何よりAR機能で、メーカー側が意図した場所ではない、聖地や旅行での移動が生まれているというのが大変興味深いです。
今回取材を行ってみて、以前の聖地巡礼記事でも触れたように、やはりユーザー側に楽しみ方を委ねる「創作」的な余白の要素が、移動とコンテンツを掛け合わせる上では重要になってくるように感じました。
“移動”×ゲームの可能性
今回は移動とゲームについて掘り下げるため、東京ゲームショウ2018にて取材を行いました。取材を行ってみて、コンテンツきっかけの移動は、制作側の意図した移動に加え、ユーザー自らが新たな移動を創り出すきっかけにもなるということが改めて分かりました。「ゲーム」というコンテンツは人の移動を広げる可能性をまだまだ秘めていることからも、引き続きMDLとしては「移動」と「ゲーム」について注目していきたいと思います。
<調査概要>
- 調査手法 : インターネット調査
- 調査対象 : 18~79歳の男女1,000人
- 調査期間 : 2018年9月1日~2日
五明 泉 Move Design Lab代表/恵比寿発、編集長
1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。