ママたちの心が満たされる「充足消費」とは?〜ママの買い物調査レポート①

イマファミ通信 VOL.25

こんにちは。イマドキ家族のリアルを伝える「イマファミ通信」担当、イマドキファミリー研究プロジェクトチームです。
2019年度は首都圏40km圏で長子小学生以下のママを対象に、「ママの買い物調査」を実施しました。ママは食料品や日用品・子供の物といった、家族のための消費の大半を担っています。それ以外にも自分のための消費ももちろんあります。それらの「買い物」を日々の忙しい生活の中でどのようにやりくりしているのか。また、どのようなモチベーションで行っているのかを調査しました。
今回は、その中でも「家族や自分のために行うことによって、ママ自身が充足感を味わえる消費=充足消費」について深掘りしてご紹介します。

※以下、 「共働きママ」は、自身及び夫がフルタイムで働いている、長子が小学生以下のママを指します。

共働きママの約半数が1年以内の「充足消費」あり

1年以内に「充足消費」を経験した人の割合は共働きママ53.3%、専業主婦ママ42.5%と、共働きママのほうが10ポイントほど高い結果となりました。また、共働きママでは長子の年齢が上がっても「充足消費」の経験率がほぼ変化しないのに対して、専業主婦ママでは子供が小学校高学年になると「充足消費」の経験率は下がります。(図A参照)
実は、プロフィールデータでは「子供が小学校高学年の専業主婦ママ」は、比較的「時間的余裕がある」割合が高い層です。それなのに「充足消費」の経験率が下がるのはなぜでしょうか。時間的余裕があるだけに、たとえ同じ消費を行っていたとしても、かえって“充足感”につながる“特別感”が薄れてしまう、ということが理由として考えられます。

「充足消費」は「自分のため」と「家族みんなのため」が半々

ママ自身が充足感を味わえる「充足消費」の目的について聞いたところ、「家族みんなで利用するための商品・サービスの購入」と「自分で利用するための商品・サービスの購入」が半々という結果になりました。これは、共働きママと専業主婦ママで比較してもほぼ同じ傾向でした。ママの心が満たされるための消費といっても、自分のための消費と同じくらい家族のために行う消費も含まれており、ママたちの消費には「家族みんなのため」という視点も大切であることがわかります。(図B参照)

ママの心の栄養となった商品やサービスは?

「家族みんなで利用するための商品・サービス購入」での「充足消費」の内容を見ると、共働きママ・専業主婦ママともに一番順位が高いカテゴリは「旅行」、次いで「食品・スイーツ」という結果でした。「外食」「レジャー施設利用」については、共働きママと専業主婦ママで順位は同じでも、割合としては共働きママのほうが低めという結果になっています。別の調査から共働きママの方が「外食」や「お出かけ」の割合が高い傾向があることがわかっており、実施回数が多いため1回ごとの“特別感”を感じにくい可能性があることが考えられます。また、より時間的・精神的余裕がない共働きママにとって、「レジャー施設利用」は、精神的・肉体的にやや負担となる側面もあるのかもしれません。

「充足消費」の中で「自分で利用するための商品・サービスの購入」のトップは、共働きママ・専業主婦ママともに「自分用の衣服」となりますが、共働きママは「美容系・リラックス系サロンの利用」が専業主婦ママと比較すると高くなっています。今後、共働きママが増加すると、こうした消費の需要は伸びる可能性があるのではないでしょうか。(図C参照)

実際に「充足感」を味わうことができた消費の中身を写真でご覧ください。

衣服では「少し高価な」「前から欲しかった」というコメント、食品・スイーツでは「期間限定」「季節限定」といったコメントがよく見られました。

“心を満たす”“ご褒美”といった消費においては、靴・鞄・アクセサリーなどの高級品が想起されがちですが、実際には
1,000円未満の食品やスイーツも数多く挙げられ、ママたちが身近なもので日々の満足感を得ている様子が伝わってきました。

次回の「ママの買い物調査レポート」では、「充足消費」に関するママたちのインサイトに迫っていきたいと思います。

調査概要
2019年度 ママの買い物調査

  • 調査地域 : 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(東京駅を中心とする40km圏)
  • 調査方法 : インターネット調査(調査会社のパネルを使用)
    ※アンケートに加え、実際の「充足消費」の写真も、モニター自身でアップロードしてもらい回収
  • 調査対象 : 長子小学生以下の25〜49歳の既婚女性 計1293ss
    夫婦同居であること。親同居者は除外(女性側の勤務形態と子供の学齢で割付)
    充足消費の集計方法:1サンプルあたり最大3点まで回答があるため「充足消費」1点につき1レコードとしたレコード集計を実施
  • 調査期間 : 2019年6月28日(金)〜7月8日(月)

上記ライター土屋 映子
(シニア ストラテジック プランナー)の記事

イマファミ通信

イマドキファミリー研究所では、働き方や育児スタイルなど、子育て中の家族を取り巻く環境が大きく変化する中で、イマドキの家族はどのような価値観を持ち、どのように行動しているのかを、定期的な研究により明らかにしていきます。そして、イマドキファミリーのリアルなインサイトを捉え、企業と家族の最適なコミュニケーションを発見・創造することを目的としています。

[活動領域]

子育て家族に関する研究・情報発信、広告・コミュニケーションプランニング、商品開発、メディア開発等

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  • 高野 裕美
    高野 裕美 イマドキファミリー研究所リーダー/エグゼクティブ ストラテジック ディレクター

    調査会社やインターネットビジネス企業でのマーケティング業務を経て、2008年jeki入社。JRのエキナカや商品などのコンセプト開発等に従事した後、2016年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、食品メーカーや、子育て家族をターゲットとする企業のプランニング業務に取り組む。イマドキファミリー研究プロジェクト プロジェクトリーダー。

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    荒井 麗子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2001年jeki入社。営業職として、主に商業施設の広告宣伝の企画立案・制作進行、雑誌社とのタイアップ企画などに従事。2011年より現職。現在は営業職で培った経験をベースに、プランナーとして商業施設の顧客データ分析や戦略立案などのプランニング業務に取り組んでいる。

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    澤 裕貴子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2002年jeki入社。商業施設の戦略立案などのプランニング業務に従事し、 その後アカウントエグゼクティブとして広告宣伝の企画立案・制作進行などの業務を担当。 2011年より現職。現在はJRやJRグループ会社の調査やコミュニケーション戦略立案などを中心に、 プランニング業務に取り組む。

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    土屋 映子 イマドキファミリー研究所 シニア ストラテジック プランナー

    2004年jeki入社。営業職として、主に企業広告のマスメディアへの出稿などの業務に従事。2009年より現職。現在は商業施設の顧客データ分析や戦略立案などを中心に、プランニング業務に取り組んでいる。

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    河野 麻紀 イマドキファミリー研究所 ストラテジック プランナー

    2008年jeki入社。ハウスエージェンシー部門のプランニング業務に従事した後、営業局、OOHメディア局を経て、2017年より現職。現在は営業・メディアで培った経験を活かし、再びプランニング業務に取り組んでいる。