祝祭を彩る花と光のアート「東京ミチテラス2017」を、総合演出のフラワーアーティスト・ニコライ バーグマン氏と語る


jekiは、2001年の「東京ミレナリオ」の開催以来、丸の内エリアをシンボライズするイルミネーションの企画運営に長年携わってきました。今年開催される「東京ミチテラス2017」では、「Celebration!(セレブレーション)」をテーマに、街の祝祭感を花と光で創出しています。総合演出は、ニコライ バーグマンさん。いま日本でもっとも有名なフラワーアーティストのひとりです。東京ミチテラスの事務局長を務めるjekiプロモーション局長の石川勉が、ニコライ バーグマンさんに話を伺います。


石川
ニコライさんは「東京ミチテラス2017」開催の舞台である、大手町・丸の内・有楽町エリアとはご縁が深いと伺っています。

 
バーグマン
そうですね。私が最初に自分の名前を冠したショップ「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン」を出店したのが有楽町でした。今も周辺エリアには3つの店舗を構えており、このエリアで催されるイベント演出や施設の館内装飾も数多く手掛けています。思い入れの深いエリアですね。


石川
なるほど。「東京ミチテラス」は今年で6回目の開催となります。ニコライさんには、丸の内エリアの「セレブレーション(祝祭)」をテーマとする作品の演出をお願いしたのですが、こういった日々活動している街の中、これだけのスケール感で、インスタレーションを行なうのは初めてではないですか?

バーグマン
はい、多分初めてのことだと思います。ですからこれだけの大きさで、どのようにしたらニコライ バーグマンのフラワーデザインを表現できるのか、チャレンジでした。私が作品として扱っているフラワーボックスやフラワーアレンジメントを、このロケーションを生かしながら、スケール感を体験してもらうことに注力しました。

石川
実は今年は、東京駅にとってエポックメイキングな年なのです。東京駅丸の内駅前広場が12月7日に完成しました。これまで東京駅は丸の内駅舎の復原工事、駅前広場の工事と、長い間仮囲いに覆われてきましたが、それらが全て取リ払われたのです。駅前のポテンシャルは一気に上がりました。
ご存知の通り東京駅丸の内駅舎は国の重要文化財ですし、2010年に再整備された行幸通りは皇居に抜けるとても綺麗な場所です。そんな場所を、「セレブレーション(祝祭)」を感じさせるイメージストーリーで演出していただいたわけです。実際、東京駅を背景にした作品には、どのような意図や考えがあったのでしょうか。


バーグマン
自分の作品で、東京駅前広場の完成をお祝いできるということをすごく嬉しく思っています。私の作品を選んでいただいたという評価にも感謝していますが、今回は特別なスケールで演出を行う仕事です。通常の作品づくりとは方法も異なりますし、制限も少なくありません。デザイン面でもいい意味で苦労しました。でも、こうしたチャレンジが、私は好きなんです。

石川
企画検討段階では「アート」や「スポーツ」という切り口も検討されたのですが、記念すべきお祝いの年を飾るのは、やはり「花」がふさわしいと。この特別なロケーションを「花」で演出することで、街のポテンシャルを更に引き上げていただくには、ニコライさんのほかはいない、ということになった次第です。

バーグマン
それは嬉しい限りです。

石川
仮組みを見てみたのですが、花の配色が非常にデリケートでエレガントだと感じました。
我々日本人は、花に対する意識が若干違うのでしょうか。すごく繊細なグラデーションに驚きました。今回は来訪者が回遊できる企画の一環として、丸の内エリアの7箇所にニコライさん作の大きなフラワーボックスが設置されます。丸ビルは赤、国際ビルは緑、明治安田生命ビルはミックスカラーというように、それぞれ趣向の異なる色彩を用いられていますが、どのようなインスピレーションで配色をイメージされたのでしょうか。

バーグマン
私は第一印象、インスピレーションをすごく大切にしています。ですから、例えば丸ビルには高さ10mのクリスマスツリーの装飾があるので「クリスマスらしい赤がよい」というインスピレーションが働きました。それぞれの建物の色合いや、周りの雰囲気といった要素を考慮して、少しずつ作品に反映していくのです。

私が日本に来たのは約20年前。外国人として最初にインスピレーションを得たのは「日本らしいもの」でした。着物の柄、古いお寺や神社、その中にある屏風と、渋いものがとても印象的でした。また日本とデンマークの自然は全然違いますから、枝ものやツル、枯れ葉や実など、日本的なものがすごく印象的でした。ですから今も、ヨーロッパのデザインに日本で学んだ感性を取り入れて、花のニュアンスや色合いなどをアレンジして作品を作り上げています。

石川
ニコライさんの作品は、日本の伝統的なものを残しつつ、現代的な華やかさというのをすごく大事にされているので、今の日本人の心に訴えるものがあるのではないでしょうか。

 
バーグマン
ありがとうございます。私は今、41歳なのですが、これまでの人生の半分はデンマークで、半分は日本で生きてきたという感じです。日本の方に私のフラワーデザインを見ていただいて、どこか懐かしい部分や、日本の色合い、物の扱い、何かそういうものを感じていただけるのではと思っています。

石川
ええ。私が言うのはおかしいかもしれませんが、来ていただいた皆さんがニコライさんの作品を見ようと思うのは、やっぱり日本人の・・・

バーグマン
心が入っているんですよ。

石川
本当にそうですね。ところで「ミチテラス」という言葉には、「未知(=未来)の世界を明るく照らしていこう」という意味があるんですが、ニコライさんの存在感のある花に、イルミネーションを組み合わせるという試みは初めてですか。


バーグマン
花をライティングすることはありますが、ここまで本格的に取り組むのは初めてです。私はフラワーアーティストとして、ライトを使うことにはすごく敏感なところがあります。ただ、今回照明デザインを担当した山下裕子さんは、私のこだわりを理解してくださっていました。例えば昼間と夜の作品の見え方についてもとても気を使っていただいています。

イルミネーションの現場では、機材やケーブルがむき出しになっていて、夜だけ綺麗に見えればよい、日中の見え方は気にしていないというようなところも多いでしょう。けれども、今回作品を展開する丸の内エリアは毎日多くの人が行き交うところなので、昼間でも楽しんでいただけるような作品にしたいと考えました。

一方、夜はライトの光量や色、ライトの変化といったものにこだわり、少し大人の雰囲気にしたいと山下さんには伝えています。ですから、すごくいいコラボレーションになっていると思います。

石川
行幸通りの「フラワーガーデン」は、どのような演出になっていますか。

バーグマン
お客さまに楽しんでいただけるよう、行幸通りをいくつかのエリアに分け、エリアごとに演出に変化をつけています。まず、来場者をお迎えするのは私が一番好きなブーケ。ブーケ作りは、テクニックも必要で手間がかかる、フラワーアレンジメントでも一番難しい作業です。フラワースクールの受講生にも話すのですが、ブーケ作りという作業は、実は、最後の10〜20%だけなんですね。その前の80%は事前の準備なんです。花を買いに行ったり、水揚げをしたり、色を選んだり、そういう下準備が大変なのです。

石川
今は写真を撮って、それをSNSで共有するというイルミネーションの楽しみ方もありますので、行幸通りの会場内にはフォトスポットを設けています。フォトスポットの前には、行幸通りの作品が並び、その向こうに、大小の車輪のオブジェが見えて、更にその奥にライトアップされた東京駅が見える。この、大小の車輪は、東京駅前であるということを意識して作られたのでしょうか。


バーグマン
個人的には「何かの形に見えてほしくて作品を作る」というのはあまり好きではありません。作品とテーマ、作品とロケーションを、どのような意味合いをもってつなげていくかということを考えて、駅舎と一体のデザインとなったインスタレーションを作りました。もちろん、最初のインスピレーションは大事にしています。これは、大きい作品を作る時も小さい作品を作る時も共通です。

石川
作品を生み出すエネルギー、インスピレーション、そういったものは、その場に行っていろいろと考えたりするんですか。

バーグマン
作品のスケール感によりますね。通常のスケールの作品であれば、アドリブで作り上げることも結構好きなんです。アレンジメントの朝、市場に行ってインスピレーションで決める。そういうことはよくあります。また、フラワーデモンストレーションの場合は、全部が決まっているわけではなく、一部をアドリブで作品を作る。そこで新しいアイデアが生まれてきます。今回のミチテラスのような大きな作品であれば、インスピレーションと綿密なプランニングの両方が大事になってくるんです。

石川
今回の作品は、緻密に計算された、花とライティングによる演出も見どころになるわけですね。
ニコライさんの心が入った作品に触れると、なにかちょっとあったかい気持ちになる。「東京ミチテラス」の作品も、きっと温かさが伝わってくると思います。

バーグマン
今回の演出では、花の力とライティングデザインの力があいまって、間違いなく寒さを一瞬忘れるような形になると思います。

石川
そうですね、とても楽しみにしています。今日はお忙しいところありがとうございました。

【取材を終えて】
ニコライさんは、背が高くてハンサムで、とても気さくな方。日本語もお上手で、なにより日本文化に大変興味と理解がある方だと感じました。繊細で洗練された花の配色・アレンジは、森と自然をこよなく愛するデンマーク人の精神の上に開花した才能だと思います。フラワーデザイン、ファッション、プロダクト、ジュエリーまで、幅広いジャンルで挑戦するニコライさんの更なる活躍が楽しみです。また是非お会いしましょう。Tak!

ニコライ バーグマン Nicolai Bergmann
デンマーク出身。フラワーアーティスト。スカンジナビアンスタイルのセンスと細部にこだわる日本の感性をフラワーデザインに融合させたユニークな作品を発表し続けている。 その活動の幅は広く、フラワーデザインはもとより、ファッションやデザインの分野で世界有数の企業と共同デザインプロジェクトを手がける。 国内外に12店舗のフラワーブティック、3つのカフェ、ジュエリーブランド NATUR & NICOLAI BERGMANNを展開している。「東京ミチテラス2017」総合演出。

「東京ミチテラス2017」は、12月28日(木)まで開催しています。
公式ホームページ http://www.tokyo-michiterasu.jp/

プロモーション

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jekiが取り組むプロモーション展開の企画背景や舞台裏などを、キーマンへのインタビュー、対談等を通じて紹介します。

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  • 石川 勉

    執行役員企画制作本部副本部長・プロモーション局長
    1956年横浜生まれ。早大卒。88年にSPプランナーとして広告業界で働き始める。88年、ブリスベン国際レジャー博覧会(オーストラリア )、92年ジェノヴァ国際船と海の博覧会(イタリア )の公式行催事チーフディレクターを経て、2000年1月にjeki入社。プロモーション局第三部長として、EURAIL SPEED(ベルリン、マドリッド)、国際鉄道安全会議などを担当し、2001年より東京駅および大丸有エリアで開催される東京ミレナリオ、光都東京LIGHTOPIA、東京ミチテラスなどを手掛ける。2011年より現職。