生活者のお出かけ意欲 「Move Mind Index」


はじめまして、Move Design Lab(MDL)の市川です。
移動の未来について考えながら”新しい移動”を構想するプロジェクトチーム「Move Design Lab(MDL)」は、18~79歳の男女1,000名に対し、「今月のお出かけ意欲」を得点化してもらう調査を実施しました。

「移動減少社会」といわれる今、外出する意欲まで失われてしまっているのか。経済的事情など何らかの外出を妨げる理由があるのか。それとも、出かけたいと思える場所・目的がなくなってしまったのか。MDLでは、生活者の移動に対する思いをひもとき、新たな移動の創発に挑戦していきます。

MMI調査は毎月上旬に実施。生活者のお出かけ意欲を「最もお出かけしたいを10点、最もお出かけしたくないを0点」として聴取。その結果を「Move Mind Index」として、毎月発信していきます。

調査は2017年8月から実施。今回は、第1回の8月調査から12月調査までの結果をご紹介します。

移動減少社会・・・でも、ホンネはお出かけしたい?

お出かけに消極的な0~4点は、いずれの月でも3割未満の結果になりました。移動減少社会が進んでいる中、生活者の潜在的なお出かけ意欲はまだまだ失われていないようです。

 測定を開始した8月からの傾向をみると、夏から秋にかけてMMIが上昇しています。2017年の夏は、東・西日本ともに平均気温がかなり高く、「暑さ」や「夏休みの人混み」を理由にお出かけ意欲の低い人が目立ちました。実際に、MMIの結果のように、秋になり過ごしやすい季節になったことで、お出かけ意欲のスイッチが入った人も多いのではないでしょうか。四季の移り変わりを感じやすい日本では、「今しか体験できないこと」「トキを楽しむこと」が、お出かけ意欲を刺激するポイントのひとつになっているといえます。

ではどんなコトが生活者のお出かけ意欲を駆り立てているのか。もう少しひもといていきたいと思います。

「その時」を楽しむ移動は失われていない

毎月のMMI(お出かけ意欲)とあわせて、「買物」「美味しいものを食べる」「レジャー」など目的別の意欲を聴取しています。その月のお出かけ意欲を刺激するコトは何なのか。何が人々を移動させているのか。目的別のお出かけ意欲をみていきたいと思います。

目的別のお出かけ意欲は、計8項目から聴取しています。それぞれの項目は、MMIと同じく10点満点です。その平均得点を表したものが以下です。

秋にかけて上昇したMMIと連動して、「運動」「レジャー」「国内旅行」が上昇しています。「行楽の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」、日本にあるさまざまな「○○の秋」がそのまま結果に表われています。12月ではクリスマスに関連してか、「買物をしたい」「美味しいものが食べたい」が、お出かけのトリガーになっているようです。

余談になりますが・・・強力な移動のトリガーである○○の秋シリーズ。なぜ秋だけ「○○の秋」があるのか、みなさんご存知ですか?いくつか説はあるようですが、「気温・湿度ともに過ごしやすい気候であること」、「農業活動が主体であった日本において、秋は収穫を終えて一段落しており、さまざまなことを楽しむのには適した時期」といった背景があるそうです。

その時・そのタイミングでしか味わえないキセツゴトは、移動減少社会においても強い移動のトリガーになっています。日常的な移動は減少していますが、その時を楽しむ瞬間的な移動はまだまだ失われていないはずです。

移動は、今の価値観を表わす

「買物するなら送料無料のネットショッピング。出かけると電車賃もかかる」。昨今の経済事情も関連してか、今の生活者は結果的にほぼ同じ価値を得られるならばできる限り消費の少ない方を選択します。自宅でできることは自宅で行う「ファーストプレイス化」の進行です。

ファーストプレイス化で「節約」・「便利化」が進む中、生活者は何に価値を感じて移動しているのか。MMIから、「この場所・このタイミングでしか味わえないこと」に価値を感じていることがみえてきました。
生活者の消費行動は「モノ消費」から「コト消費」へ。最近では「コト消費」から「トキ消費」へ移行してきたといわれています。今回の結果と併せて考えると、「現在の移動=現在の価値観」といえるのではないでしょうか。移動をひもとくことは、現在の生活者の価値観をつかむことにもつながるはず。「ちょっと強引な解釈だな、おい」と思った人もいるでしょう。その気持ち、十分わかります。ただ、我々の移動をひもとく研究は始まったばかり。どうか今後の活動を温かい目で見守ってください。

この記事が読まれているころには、さらに寒さも増していることでしょう。みなさんの移動はどう変化しているでしょうか?食欲の秋を満喫した筆者には過酷なダイエットの冬が待っています。厳しい冬を乗り越えつつ、生活者の移動の今をタイムリーに追いかけ、「移動のトリガーの発掘・新しい移動の創発」につなげていきたいと思います。

※MMI(おでかけ意欲)調査とは
今回はMMIの紹介とあわせて、これまでの過去5回分の調査結果を紹介しました。以降は月次でMMIを紹介していきます。「生活者の移動の今」を追うことを通して、新しい移動のトリガーを考えていきます。

Move Design Lab

Move Design Lab

Move Design Labは生活者の「移動行動」を探求し、”新しい移動“を創発していくことをミッションに始動したプロジェクトチーム。その取り組みをシリーズで紹介していきます。

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  • 五明 泉

    Move Design Lab チーフプロデューサー/ Move Design Lab代表
    1991年jeki入社。営業局配属後、通信、精密機器、加工食品、菓子のAEを歴任、「ポケットモンスター」アニメ化プロジェクトにも参画。2014年営業局長を経て2016年よりコミュニケーション・プランニング局長。

  • 中里 栄悠

    Move Design Lab ストラテジック・プランナー/プロデューサー
    2004年jeki入社。営業局、駅消費研究センター、アカウントプロデュース局を経て、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。シニア・ストラテジック・プランナーとして、メーカー、サービス、小売など幅広い企業のコミュニケーション戦略立案に携わる。

  • 彦谷 牧子

    Move Design Lab データアナリスト/ ストラテジック・プランナー
    リサーチ・コンサルティング会社を経て、2009年jeki入社。JR東日本保有データの分析・活用業務に従事した後、2014年よりコミュニケーション・プランニング局に所属。化粧品、トイレタリー、通信機器等幅広いクライアントのコミュニケーション戦略をはじめとしたプランニングを担当。

  • 市川 祥史

    Move Design Lab リサーチプランナー/ データアナリスト
    市場調査会社にて、企業のマーケティング課題の解決に従事。2017年jeki入社。コミュニケーションプランニング局配属。交通広告・キャンペーンの効果測定を中心に、クライアントの課題発見・解決を支援する。

  • 古山 萌美

    Move Design Lab コミュニケーション・プランナー/デザイナー
    2016年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。商業施設の戦略提案他、食品、文房具メーカーなどのプランニングを担当。

  • 手塚 友哉

    Move Design Lab コミュニケーション・プランナー
    2017年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局に配属。主に移動者を中心とするメディアプランニングを担当。

  • 宮本 守

    Move Design Lab メディアイノベーター
    1997年jeki入社。媒体局配属後、交通広告のプランニング、バイイングを担当。デジタルサイネージの広告表現手法の開発や効果測定にも携わる。現在は、交通媒体本部にて広告商品の企画・販売・運営に従事しつつ、デジタル連携など新たな取り組みにもチャレンジしている。

  • 加藤 肇

    Move Design Lab 駅消費アナリスト/コンサルタント
    1999年jeki入社。コミュニケーション・プランニング局で鉄道や商業施設関連のプランニングに従事した後、2009年より駅消費研究センター長。現在は、駅利用者を中心とした生活者のインサイトや消費行動の研究に取り組んでいる。

  • 松本 阿礼

    Move Design Lab 駅消費アナリスト
    2009年jeki入社。プランニング局で駅の商業開発調査、営業局で駅ビルのコミュニケーションプランニングなどに従事した後、2015年より駅消費研究センターに所属。現在は、駅利用者を中心とした行動実態、インサイトに関する調査研究や、駅商業のコンセプト提案に取り組んでいる。